ビタミンやミネラルなど、妊活中に必要な栄養はたくさんあります。
ですが、すべての栄養を毎日食事から摂ろうとすると難しいので、サプリメントを活用する方も多いですよね。
ドラッグストアなどでもたくさんのサプリメントが手に入りますし、種類もどんどん増えているので、「栄養はサプリで摂れば大丈夫」と思う方もいるかもしれません。
本当にそうでしょうか?
サプリメントの役割や効果、「食べる」ことの妊活への効果を考えてみましょう。
そもそもサプリメントとは?
日本では法的にサプリメントの明確な定義はありません。
サプリメントは一般的に、栄養補助食品や健康補助食品とも呼ばれて、ビタミンやミネラルなど不足しやすい栄養を補う食品の総称として使われています。
サプリメントにも天然と合成がある?
サプリメントには野菜や果物などから抽出された天然原料のものと、科学的に作られた合成原料のものがあります。
天然原料のサプリメントは、普通の食事と近い形で栄養を補給することができ、特定の栄養素だけでなく原料となった食品に含まれる複数の栄養を同時に摂れるメリットがあります。
合成原料のサプリメントは、欲しい栄養素を高濃度でピンポイントで摂取でき、天然原料に比べて安価で手に入りやすいのがメリットです。
栄養素によって、天然と合成で吸収率が変わる場合があります。
例えば、妊活中に摂っている方が多い葉酸は、合成の方が吸収がいいことが分かっており、厚生労働省でも推奨されています。
逆に、黄体ホルモンの原料となるビタミンEは天然の方が吸収がいいとされていますし、ビタミンCは天然でも合成でも効果が変わりません。
妊活中だと天然成分の方が安心感があるように思いますが、栄養素によっては合成のものを活用した方が効率的なこともあるので、とらわれ過ぎずに選びたいですね。
サプリメント選びで気を付けることは?
添加物
妊活中に控えたいものといえば食品添加物がありますが、サプリメントと添加物は切り離すのが難しい関係にあります。
大抵の栄養素の必要量はごく少量なので、栄養成分以外はすべて、粒の形にするための添加物ということになるんです。
飲みやすさと保存性を高めるためのものですから、添加物が悪いとは一概に言えませんが、できれば避けたいものです。
最近では成形のための賦形剤(ふけいざい)や保存料を減らす、あるいは不使用のサプリメントも販売されています。
サプリメント中の成分の重量を計算してみたら99.9%が添加物だった!
ということもあるので、妊活サプリを選ぶ時には添加物の使用割合も気にするようにしたいですね。
製造工場
サプリメントを購入するとき、それがどのような工場で作られているか知る方法はなかなかありませんが、妊活中の大切な時期だと気になることもありますよね。
判断基準の1つとしてGMP(適正製造規範)というものがあります。
GMPとは原材料の仕入れから製造、出荷まですべての工程で安全で安定した品質を保つためのガイドラインです。
元々は医薬品のために設けられているものなので、サプリメントではGMPを守る義務はありません。
ですが審査をクリアしたGMP認定工場で作られたサプリメントには「GMP認定マーク」を付けることができるので、選ぶ際の安心のポイントにすることができます。
「食べる」ことの妊活への効果
サプリメントだけで必要な栄養を補うことは基本的には可能とされていますが、あまり現実的ではありません。
また、食事は栄養を補給するためだけでなく、味や見た目を楽しむことでリラックスを促しますし、さらに「噛む」という動作がとても重要になります。
しっかり噛むことが脳を刺激するのはよく知られていますね。
噛む動作で血流がアップし、脳が活性化することで自律神経とホルモンバランスを整えることにも繋がります。
さらに、噛むことで分泌が促される唾液には、食べ物の活性酸素を分解する酵素が含まれています。
たくさん噛むことで、体内に入ってくる活性酸素を直接減らすことができるんです。
健康的な妊活には「よく噛んで食べる」ということが、実はとても大切です。
まとめ
栄養を補給するのにサプリメントはとても手軽で有効ですが、過信は禁物です。
普段の食事の中でなにが不足しているのかをきちんと見極めて、必要なものを選ぶことで効果をより実感することにも繋がります。
まずはよく噛んでバランスのとれた食事をすることを心がけ、サプリメントはあくまで補助的に取り入れることで、健康で効率的な妊活をしていきましょう。
参考書籍
- 東洋経済新報社「サプリメントの正体」
国立健康・栄養研究所認定NR 田村忠司 - 双葉社「まちがいだらけのサプリ選び」
神戸大学大学院教授 金沢和樹 - えい出版社「サプリメントの疑問すべて答えます!サプリメントバイブル」
株式会社つくばアソティック・フーズ代表取締役 神崎良太郎 - NHK出版「よく噛んで食べる-忘れられた究極の健康法-」
東京医科歯科大学歯学部卒 歯学博士 齋藤滋