店頭に並んでいるきのこはほとんどが人工栽培されているもので、季節に関係なく一年中出回っており、いつでも食べることができます。
また、低カロリーでヘルシーなきのこは、いろいろな料理との相性も良く、その上、妊活中に必要な栄養素も多く含んでおり、妊娠力アップにおすすめの食材です。
今回はきのこに含まれる栄養素の解説をはじめ、相性の良い食材、きのこを使ったレシピや保存方法などをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
きのこに含まれる栄養素
きのこには、βグルカン(食物繊維)をはじめ、ビタミンDや葉酸、カリウムなどの栄養素が豊富に含まれています。
ここではきのこに多く含まれる栄養素がどのように妊活に有効なのか、その働きを解説します。
免疫力を高めるβグルカン(食物繊維)
きのこには食物繊維の一種である、βグルカンが豊富に含まれています。
食物繊維であるβグルカンには、便秘を予防して、腸内の健康を保つ働きや、余分な脂質や糖質の吸収を抑えて体外に排出してくれる働きがあります。
さらに、βグルカンには、直接腸内の免疫細胞に働きかけて、免疫力を高める働きもあります。
免疫細胞の7割は腸内に集まっているので、腸内環境を整えることは、免疫力を高めることにつながります。
妊娠中、特に妊娠初期は、ホルモンバランスの変化やつわりなどにより、食欲や体力が落ち、一時的に免疫力が低下する傾向にあります。
妊娠中の免疫力の低下を防ぐ為にも、妊娠の準備期である妊活中から、しっかり免疫力を高めておくことが大切です。
カルシウムの吸収を促進するビタミンD
きのこには、カルシウムと共に丈夫な骨をつくるのに欠かせないビタミンDが豊富に含まれています。
ビタミンDは、骨の材料となるカルシウムの吸収を促進することは広く知られています。
そして、きのこのビタミンDは、日光に当たると増加することが分かっています。
調理前に30分~数時間程度天日干しするだけで、ビタミンDを増やすことができるのです。
また、最近の研究でビタミンDには免疫作用の調整をする役割もあることが分かり、注目されています。
妊娠に関わる事として、ビタミンDは子宮内膜の環境を整え、着床に必要であることが分かってきました。
妊活女性に必須な葉酸
きのこに含まれる葉酸は、胎児の脳や神経を作るのに不可欠な栄養素で、厚生労働省も妊娠を希望する女性に積極的な摂取を勧めています。
赤ちゃんの脳は妊娠6週目(おおよそ妊娠1ヶ月半)には出来上がると言われます。
つまり、妊娠に気がついた頃には赤ちゃんの脳が出来上がっているのです。
また、葉酸には赤血球をつくり、貧血を予防する働きもあります。
妊娠すると、おなかの赤ちゃんに酸素を届ける為に、妊娠前の2倍の赤血球が必要になります。
妊娠すると貧血になりやすいのはこの為です。
このように、葉酸は赤ちゃんがお腹の中で健康に育つ為に不可欠であり、妊娠前の妊活中から積極的に摂りたい栄養素です。
浮腫みを予防するカリウム
きのこに含まれるカリウムには、体内の水分バランスを保ち、ナトリウムが増えすぎないように調節する働きがあります。
体内でカリウムが不足したり、ナトリウムが過剰になると、ナトリウム濃度を下げる為に、細胞内に多くの水分を取り込みます。
すると、血管内の水分が増えて、それが全身に回り、浮腫みの原因となります。
現代人は加工食品を食べる機会や外食が増えて、ナトリウムを摂り過ぎる傾向にあります。
また、妊活中の浮腫みは子宮や卵巣の機能低下につながるので、ナトリウムの排出を促してくれるカリウムは意識して摂りたい栄養素です。
一緒に食べたい相性の良い食材
きのこと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
乳酸菌が豊富なチーズと合わせて食べよう
きのこに豊富なβグルカン(食物繊維)は、乳酸菌が豊富なチーズと一緒に食べることで、乳酸菌のエサとなり、善玉菌を増やし、便通改善の効果が期待できます。
したがって、腸内環境が整い、免疫力も高めることができます。
きのこのおすすめレシピ
きのこを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
きのことチーズのキムチ和え
きのこと相性の良いチーズをキムチで和えるだけの簡単お手軽な一品です。
チーズ同様にキムチも乳酸菌が豊富なので、きのこのβグルカン(食物繊維)とチーズ・キムチのWの乳酸菌が腸内環境を整え、免疫力を高めてくれます。
◇材料(2人分)
- エリンギ…50g
- しいたけ…50g
- ベビーチーズ…30g
- キムチ…50g
◇作り方
- エリンギとしいたけは石づきを落とし、食べやすい大きさに切る。ベビーチーズは1㎝角に切る。
- ①のエリンギとしいたけを耐熱容器に並べ、ラップをして、レンジで1分半程度加熱する。
- ②が熱いうちにキムチを加えて、和える。
- ③の粗熱が取れたら、ベビーチーズを加え、軽く和えて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 72kcal
- たんぱく質 5.6g
- 食物繊維 2.6g
- ビタミンD 0.4ug
- 葉酸 43ug
- カリウム 249㎎
きのこたっぷり味噌汁
きのこに含まれるビタミンDには、カルシウムの吸収を促進する働きがあります。
カルシウム豊富な煮干しと合わせれば吸収率がアップ。
妊活中に摂りたい栄養素が補えます。煮干しは捨てずにしっかり食べましょう。
また、旨味成分を多く含むきのこは、複数の種類を一緒に食べることで、相乗効果で一層旨味がアップします。
◇材料(2人分)
- えのき…30g
- しめじ…30g
- まいたけ…30g
- しいたけ…20g
- 油揚げ…10g
- 味噌…大さじ1
- 煮干し…適量
- 水…300㏄
- 粉末だし…少々
◇作り方
- 鍋に水を入れ、頭と腹を取り除いた煮干しを加え、一晩おいておく。
- えのきは石づきを落とし、半分の長さに切り、ほぐす。しめじは石づきを落とし、ほぐす。まいたけはほぐし、軸は薄切りにする。しいたけは石づきを落とし、かさと軸を薄切りにする。油揚げはザルにのせ、熱湯をかけて油抜きをし、短冊切りにする。
- ①を火にかけ、沸騰後、②を入れる。具材がしんなりとして火が通ったら、一旦火を止めて、味噌を入れる。
- 食べる直前に再び加熱し、最後に粉末だしを少し加えると風味良く仕上がる。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 58kcal
- たんぱく質 5.1g
- 食物繊維 2.7g
- ビタミンD 1.5ug
- 葉酸 32ug
- カリウム 235㎎
きのこの保存方法
冷蔵保存
新鮮なきのこを購入した場合、冷蔵庫保存で5日間程度は風味が変わらずに美味しく食べることができます。
冷凍保存
石づきを落とし、使いやすい大きさに切るか、ほぐして、保存袋に入れます。
炒め物や煮物、汁物など、調理の際は、凍ったまま使用しましょう。(保存期間目安1ヶ月)
妊活のおすすめ食材「きのこ 」
きのこには、腸内環境を整えて免疫力を高めるβグルカン(食物繊維)をはじめ、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、赤ちゃんがお腹の中で健康に育つ為に必要な葉酸、浮腫みを予防するカリウムなど、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
きのこは一年を通して、店頭に並んでいるので、日々の食事にも取り入れやすい食材です。
相性の良い食材と組み合わせることで、栄養効果も高まりますので、毎日の食事にきのこを取り入れて、妊娠力を高めましょう。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)