独特の香りや辛みを持つにんにくは、香味野菜の中でも代表格的存在です。
料理の味出しや風味付けに、にんにくを使うと味がグッと引き締り、とても美味しくなります。
また、にんにくは滋養強壮や疲労回復に効果があるとして、昔から珍重されてきました。
にんにくには妊活中に必要な栄養成分が含まれており、妊娠力を高めたい方におすすめの食材です。
今回はにんにくに含まれる栄養成分の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材やにんにくを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
にんにくに含まれる栄養素
にんにくに含まれる栄養成分としては、アリシンとビタミンB6が挙げられます。
これらは妊娠の準備期間である妊活中にも大切な働きをします。
ここではそれらの働きについて解説します。
体を元気にするアリシン
アリシンとは硫化アリルという、機能性成分の一つで、にんにく独特の香りや辛み成分の元になっているものです。
アリシンにはビタミンB1の吸収を高め、疲労回復を助ける働きがあります。
ビタミンB1はエネルギー代謝に欠かせない栄養素です。
ビタミンB1は水溶性の為、単独では吸収率が低いのですが、にんにくに多く含まれるアリシンと結合すると、油に溶ける性質となり、吸収率が高まります。
また、アリシンには血行を促進して冷えを改善したり、腸内の悪玉菌の活性を抑えて腸内環境を整えるなど、体を元気にしてくれるたくさんの働きがあり、妊活中の方には頼もしい存在と言えます。
つわり予防に効果的なビタミンB6
にんにくにはビタミンB6が豊富に含まれています。
ビタミンB6にはたんぱく質を分解・再合成して体を作る働きがあります。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝に欠かせない栄養素で、主役級の働きをします。
ビタミンB6には新陳代謝を促進して、皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあります。
また、妊娠初期に起こりやすいつわりの症状を和らげたり、お腹の赤ちゃんの脳神経の発達を助ける働きもあるので、ビタミンB6は妊娠前の妊活中からしっかり摂りたい栄養素です。
このビタミンB6はビタミンB2と一緒に摂ることで吸収率が高まります。
食べ過ぎは胃腸を痛めます
にんにくに含まれるアリシンは前述の通り、体を元気にしてくれるたくさんの働きがありますが、食べ過ぎると、胃を荒らしてしまったり、腸内環境を悪くしたりと、悪影響が出てしまいます。
にんにくの1日の摂取目安量は2~4片程です。料理に使われている程度の量であれば問題ありませんが、にんにくをまるごと食べる場合は食べ過ぎに注意しましょう。
また、加熱したものより、生の方が刺激が強く、胃腸が弱っている場合は少しの量でも胃もたれを感じたり、気持ち悪くなったりすることもありますので注意が必要です。
一緒に食べたい相性の良い食材
にんにくと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
ビタミンB1が豊富な豚肉と合わせて食べよう
豚肉のビタミンB1含有量は牛肉や鶏肉の約10倍と圧倒的に多く、食品の中でもトップクラスです。
豚肉とにんにくを合わせて食べることでにんにくに含まれるアリシンが豚肉に豊富なビタミンB1の吸収を高めます。
すると、糖質から効率よくエネルギーが生み出されるので、スタミナがつき、体が元気になります。
また、豚肉には良質なたんぱく質が豊富に含まれています。
このたんぱく質を材料にして、皮膚、髪の毛、骨、筋肉、血、内臓、ホルモンにいたるまで、私たちの体は作られています。
豚肉に含まれる良質なたんぱく質は健康な体の土台となり、妊活の基本となる栄養素です。
にんにくのおすすめレシピ
にんにくを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
豚肉とレタスのガーリックスープ
にんにくと相性の良い、豚肉を使ったレシピです。
にんにく入りの温かいスープで体が芯から温まり、妊娠の大敵である冷えを解消してくれます。
また、にんにくに火を通す時に一番気をつけたいのが、温度です。にんにくはいきなり高温で炒めてしまうと、辛みが飛ばず生臭さだけが残ってしまい、胃もたれの原因となります。油で炒める際は、弱火でゆっくりと火入れしましょう。
◇材料(2人分)
- 豚ロース薄切り肉…100g
- オリーブ油…大さじ1/2
- にんにく…1/2~1片
- レタス…100g
- 水…300㏄
- コンソメ…1個
- 塩、こしょう…少々
◇作り方
- 豚肉は食べやすい大きさに切る。にんにくはすりおろす。レタスは食べやすい大きさにちぎる。
- 鍋にオリーブ油とすりおろしたにんにくを入れ、弱火にかけ、にんにくの匂いが立ったら、豚肉、レタスの順に入れて軽く炒める。
- ②に水とコンソメを加え、中火で軽く煮る。途中、アクを取り除く。
- 沸騰したら、塩、こしょうで味を整えて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 185kcal
- たんぱく質 9.7g
- ビタミンB1 0.42㎎
- ビタミンB6 0.27㎎
ぶりの香味ソース
にんにくに含まれるビタミンB6はビタミンB2が豊富なぶりと合わせて食べることで、活性化され、吸収率が高まります。また、ぶりに含まれるDHA、EPAには脳の働きを高める働きがあります。DHA、EPAは母乳を通して赤ちゃんに与えられることになります。
前述の通り、にんにくに含まれるビタミンB6にもお腹の赤ちゃんの脳神経の発達を助ける働きがあるので、ビタミンB6とビタミンB2を妊活中からしっかり摂ることで、赤ちゃんの脳の発達を促し、知能アップが期待できます。
◇材料(2人分)
- ぶり切り身…2切れ
- 片栗粉…小さじ1
- ◎にんにくみじん切り…小さじ1/2
- ◎しょうがみじん切り…小さじ1/2
- ◎万能ねぎ小口切り…40g
- ◎醤油…大さじ1
- ◎酢…大さじ1
- ◎みりん…大さじ1/2
- ◎三温糖…小さじ1/2
- ◎ごま油…小さじ1/2
- ◎だしの素…小さじ1/2
◇作り方
- ぶりに塩(分量外)を振り、5分ほど置く。
- 香味ソースを作る。ボールに◎の材料を入れて混ぜ合わせる。
- キッチンペーパーで①のぶりの水気を軽く拭き取り、両面に片栗粉をまぶす。薄く油を引き、熱したフライパンでぶりの両面をこんがりと焼く。
- ③に②の香味ソース入れて、沸騰する前に火を止める。
- お皿にぶりを盛り付け、香味ソースをかけて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 239kcal
- たんぱく質 18.4g
- ビタミンB1 0.21㎎
- ビタミンB6 0.42㎎
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にんにくの保存方法
常温保存
にんにくは湿気を嫌うので、風通しの良い場所で網に入れて吊るしておきましょう。
芽が出始めたら芽を取り除き、早めに使い切りましょう。
特に、気温が高いと芽が出やすいので、気温が高い時期は冷蔵保存をおすすめします。(保存期間目安1ヶ月)
冷蔵保存
薄皮付き、もしくは薄皮をむいた状態で、新聞紙に包み、他の食材ににおいが移らないよう、保存袋に入れて保存します。(保存期間目安1~2ヶ月)
冷凍保存
薄皮をむいた状態、もしくは調理に使いやすいように切った状態でラップに小分けし、保存袋に入れて保存します。(保存期間目安1ヶ月)
にんにくパワーで妊娠しやすい体づくりを
滋養強壮、疲労回復に効果があると言われるにんにくには、体を元気にしてくれるアリシンやつわり予防に効果的なビタミンB6など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養成分が豊富に含まれています。
また、相性の良い食材と組み合わせることで、栄養効果も高まります。
妊娠しやすい体づくりの為に、日々の食事ににんにくを取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)