私たちの体は食べた物からつくられています。そして、食べ物に含まれる様々な栄養素の働きによって、生命を維持し、健康を保っています。
ここで一度、普段食べている食事を振り返ってみましょう。レトルト食品やファーストフード中心の食事になっていませんか?
バランスの摂れた食事は妊活をしていく上で基本となります。妊娠しやすい体づくりの為にも、毎日の食事からしっかり栄養素を摂ることは妊娠力アップにつながります。
今回は妊活におすすめの食材「ホタテ」について解説します。
ホタテに含まれる栄養素や成分の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材やホタテを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
ホタテに含まれる栄養素
ホタテは低カロリーかつ、高たんぱく質の食材で、たんぱく質は健康な母体の基本となる栄養素です。
また、タウリンやビタミン、ミネラルなどの栄養素や成分が多く含まれています。
ここではホタテに多く含まれる栄養素や成分がどのように妊活に有効なのか、その働きを解説します。
卵子や精子を元気にするタウリン
タウリンはホタテなどの貝類のほか、イカやタコに多く含まれる成分です。
タウリンにはミトコンドリアを増やす働きがあります。
ミトコンドリアとは細胞のエネルギーそのもので、体を動かすエンジンです。
ミトコンドリアが働くことで私たちの体は活力が増して元気になります。
もちろん卵子や精子にもミトコンドリアが存在します。
ミトコンドリアの働きによって卵子は成熟し、精子は卵子にたどり着くことができるのです。
卵子や精子を動かす原動力となるミトコンドリア。
そのミトコンドリアを増やす働きがあるタウリンは妊活中のカップルには欠かせない成分です。
生殖機能を高める亜鉛
味覚を正常に保つために働くミネラルとして有名な亜鉛ですが、妊活中のカップルにとっても大切な働きをします。
男性では亜鉛は前立腺や精子に多く存在しており、精子形成に欠かすができない栄養素です。亜鉛の不足は生殖機能の低下や性欲の低下をもたらします。
女性では亜鉛は子宮粘膜をつくる材料となり、子宮環境を整え、女性ホルモンの作用を高める働きがあります。
このように妊活中のカップルにとって大切な働きをする亜鉛ですが、加工食品を食べる機会が多い現代人は不足傾向にあります。
なぜならば、加工食品の亜鉛含有量は少ないからです。
忙しいから、と食事をレトルト食品やファーストフードなどの加工食品で済ませてしまうと、亜鉛をほとんど摂ることができません。
さらに加工食品には亜鉛の吸収を妨げる添加物が使われていることもあります。
ホタテには現代人に不足しがちな亜鉛が豊富に含まれていますので、妊活中のカップルには積極的に摂っていただきたい食材です。
精子や卵子の老化を予防するビタミンB2
ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えるのに欠かせない栄養素です。
また、活性酸素によって脂質が酸化してできる「過酸化脂質」を分解する働きもあります。
前述したように、ミトコンドリアの働きは妊娠と深く関わっていますが、このミトコンドリアは活性酸素に弱いという欠点があります。
活性酸素はストレスや喫煙、偏った食事などによって発生し、細胞を老化させるので、卵子や精子の質も低下してしまいます。
ビタミンB2の過酸化脂質を分解する働きは、卵子や精子の老化予防になります。
貧血を予防する鉄・葉酸・ビタミンB12
ホタテに豊富に含まれる、鉄、葉酸、ビタミンB12には赤血球をつくり、貧血を予防する働きがあります。
その中で、葉酸とビタミンB12は常にセットで働きます。
鉄不足による貧血を鉄欠乏性貧血(貧血全体の90%を占める)、葉酸とビタミンB12の不足による貧血を悪性貧血といいます。
妊娠すると、おなかの赤ちゃんに酸素を届ける為に、妊娠前の2倍の赤血球が必要になります。妊娠すると貧血になりやすいのはこの為です。
妊娠した時からお腹の赤ちゃんに十分な酸素を届けられるよう、妊活中から鉄、葉酸、ビタミンB12の摂取を意識し、貧血を予防しましょう。
ホタテの食べてはいけない部分
ホタテには「ウロ」と呼ばれる丸くて黒い部分があります。
このウロには貝毒が蓄積している場合があり、摂取すると、下痢や麻痺などの中毒症状を引き起こす恐れがあります。
むき身の状態で売られているホタテのウロはすでに取り除かれている場合が多いですが、殻つきの場合はウロが付いていますので注意して下さい。
必ず取り除いて食べましょう。
一緒に食べたい相性の良い食材
ホタテと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
長芋
長芋には細胞の周りで水分をしっかりと蓄えてくれる、ムコ多糖という物質が含まれています。
このムコ多糖は25歳位から減り始め、それと共に体内水分量も減少していき、体内の老化が進んでいきます。
細胞を元気にしてくれるタウリンやビタミンB2が豊富なホタテと一緒に食べることで、相乗効果で体内の老化防止になります。
ホタテのおすすめレシピ
ホタテを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。
どちらもホタテの旨味をしっかり味わえる食べごたえのあるメニューです。
ぜひお試し下さい。
ホタテと長芋のアンチョビソテー
ホタテとアンチョビのダブルの旨味に、厚く切った長芋の食感がアクセントになり、お箸が進む一品です。
味付けはアンチョビのみでシンプルに。
ホタテと長芋の組み合わせで卵子や精子の老化を予防しましょう。
◇材料(2人分)
- 蒸しホタテ(生食用)…100g(8個位)
- 長芋…180g
- アンチョビ…3~4枚
- 小ねぎ…少々
- オリーブオイル…小さじ2
◇作り方
- 長芋は皮をむき、1㎝弱の輪切りにする。太い長芋の場合は半月切りにする。小ねぎは小口切りにする。アンチョビはみじん切りにする。
- フライパンにオリーブオイルを熱し、長芋の両面を焼き、焼き目が付いたら、ホタテとアンチョビを入れ、軽く炒める。火を消す直前に小ねぎを入れて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- カロリー 105kcal
- たんぱく質 10.3g
- 亜鉛 1.9㎎
- ビタミンB2 0.19㎎
- ビタミンB12 6.6ug
- 葉酸 58ug
- 鉄 1.7㎎
ホタテのチャウダー
たくさんの種類の野菜を一緒にホタテを摂ることで栄養バランスが良くなります。
また、温かいチャウダーは体の芯から温まり、血行が促進されます。
◇材料(4人分)
- ベビーホタテ…150g
- 玉ねぎ…200g
- 人参…100g
- じゃが芋…100g
- しめじ…50g
- ベーコン…40g
- バター…大さじ1と1/2
- 小麦粉…大さじ1と1/2
- 水…300㏄
- 牛乳…400㏄
- コンソメ…1個
- 塩こしょう…少々
◇作り方
- 玉ねぎ、人参、じゃが芋、しめじ、ベーコンを1㎝程度の角切りにする。
- フライパンにバターを熱し、玉ねぎ、人参を炒める。
- 玉ねぎが透き通るくらいになったら、じゃが芋、しめじ、ベーコンを加えて、さらに炒める。
- 一旦火を止めて、小麦粉を加え、具材に馴染むまで混ぜ合わせる。
- 水を加え、再び火にかけ、弱火で野菜が柔らかくなるまで煮込む。
- 牛乳とコンソメを加えて温め、ベビーホタテを加えた後、さらに5~10分程度煮込んで、塩こしょうで味を整え、完成。
◇栄養成分(1人分)
- カロリー 228kcal
- たんぱく質 11.7g
- 亜鉛 1.9㎎
- ビタミンB2 0.33㎎
- ビタミンB12 4.9ug
- 葉酸 63ug
- 鉄 1.3㎎
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ホタテの保存方法
殻付きの生ホタテを入手して、翌日中に食べ切れない場合は冷凍保存をして下さい。
冷凍保存する際は、殻から貝柱、ヒモ、卵の部分を取り出し、塩水にくぐらせ、水気を拭き取ってから、部位別にラップで包み、保存袋に入れます。
2~3週間のうちに食べ切りましょう。
妊活カップルにおすすめの食材「ホタテ」
高たんぱく質で低カロリーのホタテには卵子や精子を元気にするタウリンや生殖機能を高める亜鉛、卵子や精子の老化を予防するビタミンB2、貧血を予防する、鉄・葉酸・ビタミンB12など妊活中のカップルにぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
妊活におすすめの食材であるホタテを日々の食事に摂り入れて、カップルで妊娠力を高めていきましょう。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)