キクラゲで妊娠力アップ!妊活中の栄養・レシピ解説

キクラゲ 野菜・いも類・果物

キクラゲは、コリコリとした独特の食感と、「クラゲ」という言葉から、魚介類と間違われることもありますが、きのこの一種です。
キクラゲは、精進料理の食材として広く利用され、中華料理には欠かせない食材です。
キクラゲの栄養面についてはあまり知られていませんが、実は妊活中に必要な栄養素を多く含み、妊娠力アップにおすすめの食材です。

今回はキクラゲに含まれる栄養素の解説をはじめ、相性の良い食材、キクラゲを使ったレシピや保存方法などをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。

キクラゲに含まれる栄養素

きのこの一種である、キクラゲには不溶性食物繊維とビタミンDが豊富で、加えて、鉄やカルシウム、ビタミンB群なども含まれています。
ここではキクラゲに含まれる栄養素がどのように妊活に有効なのか、その働きを解説します。

便秘予防に効果的な不溶性食物繊維

キクラゲは食物繊維を豊富に含み、その含有量はきのこ類の中でも群を抜いています。
食物繊維には、便秘を予防して、腸内の健康を保つ働きがあります。
また、食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」がありますが、キクラゲに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維は名前の通り、水に溶けて水分を含み、便を柔らかくしてくれます。
一方、キクラゲに含まれる不溶性食物繊維は水に溶けずに腸内に長く留まり、便のかさを増やしたり、腸内を刺激して排便を促してくれます。
【水溶性食物繊維:不溶性食物繊維=1:2】が便秘解消の理想的な摂取比率と言われます。
便秘を予防して、腸内の健康を保つには、水溶性と不溶性それぞれの食物繊維の特徴を理解し、自分自身の体質や体調に合わせて摂取することが大切です。

また、食物繊維の摂取量は日本人全体で不足傾向にあります。
さらに、妊娠中は便秘になりやすい為、妊娠前の妊活中から、食物繊維をしっかりと摂り、腸内環境を整えましょう。

カルシウムの吸収を促進するビタミンD

キクラゲのビタミンD含有量は、きのこ類の中でもトップクラスを誇ります。
カルシウムと共に丈夫な骨をつくるのに欠かせないのがビタミンDです。

ビタミンDは、骨の材料となるカルシウムの吸収を促進する栄養素として有名です。
また、最近の研究でビタミンDには免疫作用の調整をする役割もあることが分かり、注目されています。
妊娠に関わる事として、ビタミンDは子宮内膜の環境を整え、着床に必要であることが分かってきました。

胎児の発育に関与する鉄やカルシウム

キクラゲは鉄やカルシウムなどのミネラルも含んでいます。
鉄には赤血球をつくり、貧血を予防する働きがあります。
鉄は月経のある年代のほとんどの女性が不足している栄養素で、多くの女性が「潜在的な鉄欠乏」の状態にあると言われます。
妊娠すると、おなかの赤ちゃんに酸素を届ける為に、妊娠前の2倍の赤血球が必要になります。
妊娠すると貧血になりやすいのはこの為です。

カルシウムは骨や歯をつくるのに不可欠な栄養素で、筋肉を動かしたり、精神の安定にも働きます。
妊娠すると、おなかの赤ちゃんは胎盤を通してお母さんからカルシウムをもらい、出産後は母乳を通してカルシウムをもらいます。
妊娠した時からお腹の赤ちゃんに十分な酸素やカルシウムを与えられるように、妊娠の準備期である妊活中から十分な鉄やカルシウムを摂っておく必要があります。

三大栄養素のサポートをするビタミンB群

キクラゲにはビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群は、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類があります。
これらのビタミンは体内でそれぞれ重要な働きをしますが、お互いに影響して働きを高めます。

三大栄養素である、糖質、脂質、たんぱく質は、生きていく為のエネルギー源であり、生命維持に不可欠です。
この三大栄養素のエネルギー代謝に深く関わっている栄養素が、ビタミンB群です。
ビタミンB1は糖質の代謝に、ビタミンB2は脂質の代謝に、そして、ビタミンB6はたんぱく質の代謝にそれぞれ深く関わっており、ビタミンB群はエネルギー代謝に欠かせない栄養素なのです。

一緒に食べたい相性の良い食材

キクラゲと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。

水溶性食物繊維が豊富なわかめと合わせて食べよう

食物繊維は水溶性と不溶性をバランス良く摂取することで、栄養効果が高まります。
わかめは水溶性食物繊維を豊富に含んでいるので、不溶性食物繊維のキクラゲと合わせて食べると、便秘予防にとても効果的、腸内環境が整います。

キクラゲのおすすめレシピ

市販されているキクラゲには生のものと乾燥品がありますが、ここでは一年を通して手に入る、乾燥キクラゲを使った妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。

キクラゲとわかめの中華スープ

キクラゲと相性の良いわかめを使った、食物繊維たっぷりのレシピです。
便秘は腸内環境が乱れているサイン。
腸内環境が乱れていると、妊娠体質からも遠ざかってしまいます。
妊娠すると、ホルモンバランスの変化などにより、便秘になりやすくなるので、妊活中からしっかり食物繊維を摂ることが大切です。

◇材料(2人分)

  • キクラゲ…4g
  • 生わかめ…40g
  • 長ねぎ…30g
  • 水…400㏄
  • 中華だし…小さじ2
  • 塩、こしょう…少々
  • ごま油…少々

◇作り方

  1. 水につけて戻したキクラゲと生わかめを食べやすい大きさに切る。長ねぎは小口切りにする。
  2. 沸騰した水に①と中華だしを加えて、軽く煮る。
  3. ②を塩、こしょうで味を整え、仕上げにごま油を少し加えて、完成。

◇栄養成分(1人分)

  • エネルギー 16kcal
  • たんぱく質 1.0g
  • 食物繊維 2.1g(水溶性食物繊維0.6g、不溶性食物繊維1.5g)
  • ビタミンD 1.7ug
  • 鉄 0.9㎎
  • カルシウム 22㎎
  • ビタミンB群(B1 0.01㎎/B2 0.04㎎/ナイアシン 0.3㎎/B6 0.01mg/B12 0.0ug/葉酸 19ug/パントテン酸 0.11mg)

キクラゲとわかめの中華スープ

キクラゲの酢の物

キクラゲに豊富なビタミンDには、カルシウムの吸収を促進する働きがあります。
カルシウム豊富なしらすと合わせれば吸収率がアップ。
妊活中に摂りたい栄養素が補えます。

◇材料(2人分)

  • キクラゲ…4g
  • きゅうり…1本
  • しらす…20g
  • 調味料
    • 酢…大さじ2
    • 三温糖…大さじ1
    • 醤油…大さじ1/2

◇作り方

  1. キクラゲは水につけて戻し、繊切りにする。きゅうりは輪切りにして、塩(分量外)を振り軽く揉み、少し置いた後、水気をしっかりと絞る。
  2. ボールに調味料を入れて混ぜ合わせ、①のきくらげときゅうり、しらすを加え、和えて、完成。
    すぐに食べられますが、冷蔵庫で少し冷やすと味が馴染んでより美味しくなります。

◇栄養成分(1人分)

  • エネルギー 48kcal
  • たんぱく質 3.3g
  • 食物繊維 1.7g
  • ビタミンD 6.3ug
  • 鉄 1.0㎎
  • カルシウム 42㎎
  • ビタミンB群(B1 0.03㎎/B2 0.05㎎/ナイアシン 0.5㎎/B6 0.04mg/B12 0.4ug/葉酸 19ug/パントテン酸 0.25mg)

キクラゲの酢の物

キクラゲの保存方法

水で戻したキクラゲが余った場合は冷蔵保存か冷凍保存しましょう。
食べやすい大きさに切り、ラップに包み、保存袋に入れます。
保存期間の目安は冷蔵保存で5日、冷凍保存は1ヶ月です。

妊活のおすすめ食材「キクラゲ」

キクラゲには、便秘予防に効果的な不溶性食物繊維やカルシウムの吸収を促進するビタミンDをはじめ、胎児の発育に関与する鉄やカルシウム、三大栄養素の消化吸収に欠かせないビタミンB群など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。

日本の食卓にはあまり馴染みがない印象のキクラゲですが、味にクセがなく、様々な料理に使いやすい食材です。
妊娠しやすい体づくりの為に、日々の食事にキクラゲを取り入れてみてはいかがでしょうか。

執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)