西洋料理に使われる香味野菜としてお馴染みのセロリ。
日本での歴史はまだ浅く、1970年代に入ってから栽培されるようになりました。
100g当たり15kcalと非常に低カロリーなセロリには、妊活中に大切な働きをする栄養素や成分が豊富に含まれています。
今回は妊活におすすめの食材「セロリ」について解説します。
セロリに含まれる栄養素や成分の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材やセロリを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
セロリに含まれる栄養素
セロリは約95%が水分で構成されていて、香り成分などのポリフェノールを豊富に含みます。
また、ビタミンやミネラルも含んでいます。
ここでは、セロリに含まれる栄養素や成分の中から、ポリフェノール(アピイン、フラボノイド)、ビタミンB群の働きについて解説します。
妊活に欠かせない2つのポリフェノール
セロリには妊活に欠かせない2つのポリフェノールが含まれています。
1つは香り成分のアピインです。
もう1つは色素成分であり、苦味や辛味の成分でもあるフラボノイドです。
◇気持ちを落ち着かせる香り成分アピイン
セロリ独特の香りは約40種類もの香り成分から成っており、その主成分がアピインです。
アピインには、ストレスを緩める働きがあり、イライラを抑えたり、不安感を解消する効果があります。
また、鎮静作用もあるので、頭痛や生理痛などの痛みを和らげてくれます。
セロリの種子から抽出した精油はアロマテラピーにも利用されており、アピインの精神を安定させる働きから、セロリは「食べるアロマ」とも呼ばれます。
ストレスと妊娠は深く関わっており、不安や緊張でピリピリしている精神状態が続くと、妊娠しやすい体は遠のいてしまいます。
セロリの香り成分アピインは妊活中に大切なゆったりとした気持ちに導いてくれます。
◇強い抗酸化作用を持つフラボノイド
フラボノイドは植物自身が自己防衛の為に作り出す成分です。
フラボノイドには、紫外線による活性酸素から身を守る抗酸化作用や害虫から身を守る抗菌・殺菌作用などがあります。
特にフラボノイドの抗酸化作用は強力で、妊活においては卵子の老化予防に効果的です。
葉酸を含むビタミンB群
ビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類があります。
これらのビタミンは体内でそれぞれ重要な働きをしますが、お互いに影響して働きを高める為、複数のビタミンB群を組み合わせて摂ることで、吸収率も高まり、効率よく働きます。
セロリにはビタミンB群が含まれていますが、突出して多いビタミンがあるというわけではありません。
しかし、セロリには多様なビタミンが含まれている為、バランス良くビタミンを補うことができます。
ビタミンB群の一つである葉酸は、胎児の脳や神経を作るのに不可欠な栄養素で、厚生労働省も妊娠を希望する女性に積極的な摂取を勧めています。
なぜ妊娠前から葉酸を積極的に摂る必要があるのでしょうか。
それは、赤ちゃんの脳は妊娠6週目(おおよそ妊娠1ヶ月半)には出来上がるからです。
つまり、妊娠に気がついた頃には赤ちゃんの脳が出来上がっているので、妊娠前の妊活中から積極的に葉酸を摂取する必要があるのです。
セロリは葉も食べよう
セロリスティックなど、茎の部分を食べることが多いセロリですが、セロリの葉には茎以上の栄養成分が含まれています。
その為、セロリの葉を食べずに捨ててしまうのは、せっかくの栄養を無駄にしてしまうことになります。
セロリの葉は茎よりも独特の香りが強く「クセ」がありますが、炒め物やスープに使うことで食べやすくなります。
一緒に食べたい相性の良い食材
セロリと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
たんぱく質と脂質が豊富な鶏もも肉と合わせて食べよう
セロリにバランス良く含まれるビタミンB群は鶏もも肉と相性抜群です。
セロリのビタミンB6には、鶏もも肉に豊富なたんぱく質を分解・再合成して体を作る働きがあり、新陳代謝を促進して、皮膚や粘膜の健康を維持してくれます。
たんぱく質は健康な体の土台となり、妊活の基本となる栄養素です。
また、鶏もも肉はささみやむね肉に比べると脂肪分が多い部位です。
セロリのビタミンB2には、鶏もも肉に含まれる脂質の代謝に働き、老化を招く過酸化脂質を分解する働きがあります。この働きは卵子や精子の老化予防になります。
このように、セロリにバランス良く含まれるビタミンB群は鶏もも肉に含まれる妊活に不可欠な栄養素の代謝に深く関わっているのです。
さらに、セロリ独特の香りは鶏もも肉の臭みを消し、料理の風味を良くしてくれます。
セロリのおすすめレシピ
セロリを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
セロリの葉たっぷり具沢山スープ
セロリと相性の良い鶏もも肉を使ったレシピです。
セロリ、にんにく、生姜の3つの香味野菜を使うことで味にグッと深みが増します。
また、にんにくや生姜は体を温めてくれる食材なので、妊活中におすすめです。
◇材料(2人分)
- 鶏もも肉…120g
- 玉ねぎ…40g
- 人参…50g
- キャベツ…100g
- セロリ(葉を中心に)…60g
- オリーブ油 大さじ…1/2
- にんにく…1/2~1片
- 生姜…1/2~1片
- 水…300㏄
- コンソメ…1個
- 塩、こしょう
◇作り方
- 玉ねぎ、人参、キャベツは1㎝角に切る。セロリは繊切りにする。にんにく、生姜はすりおろす。
- 鶏もも肉は両面に塩、こしょう(分量外)を振り、フライパンで皮目を下にして、片面だけ焼く。途中、肉から出てくる余分な油をキッチンペーパーで拭き取る。皮目に焼き色が付いたら取り出し、一口大に切る。
- 鍋にオリーブ油とすりおろしたにんにく、生姜を入れ、弱火にかける。にんにくとしょうがの匂いが立ったら、玉ねぎ、人参、キャベツを炒める。
- キャベツがしんなりしてきたら、水とコンソメを加える。
- ④が沸騰したら、②の鶏もも肉を加えて、さらに10分程度煮込む。
- 最後にセロリを加えて、ひと煮立ちしたら、塩、こしょうで味を整えて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 195kcal
- たんぱく質 11.6g
- ビタミンB群(B1 0.12㎎/B2 0.14㎎/ナイアシン 3.3㎎/B6 0.37mg/B12 0.2ug/葉酸 69ug/パントテン酸 0.84mg)
セロリのレモン漬け
レモンに豊富なビタミンCは強い抗酸化作用を持っています。
ポリフェノールが豊富なセロリと合わせれば、Wの抗酸化パワーとなって、細胞の老化を防ぐので、卵子の老化予防に効果的です。
また、セロリとレモンの爽やかな風味は食欲がない時にもおすすめです。
◇材料(2人分)
- セロリ(茎)…150g
- 調味料
- 塩…小さじ1/3
- レモン汁…大さじ1
- ごま油…小さじ1
◇作り方
- セロリは筋を取り除き、2~3㎜幅の斜め薄切りにする。
- ビニール袋に①と調味料を入れて、軽く揉み込んだら、ビニール袋の口をしばり、冷蔵庫で冷やす。味が馴染んだら、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 32kcal
- たんぱく質 0.3g
- ビタミンB群(B1 0.03㎎/B2 1.40㎎/ナイアシン 0.0㎎/B6 0.06mg/B12 0.0ug/葉酸 23ug/パントテン酸 0.21mg)
セロリの保存方法
冷蔵保存
セロリは傷むのが早い為、購入後なるべく早く食べ切りましょう。
セロリの葉は茎の栄養分や水分を吸い上げる性質があるので、葉と茎は分けて保存します。
それぞれをラップに包んで、保存袋に入れ、立てて保存します。(保存期間目安1週間)
冷凍保存
使いやすい大きさに切って、ラップに包み、保存袋に入れて保存します。
調理する際は、解凍せずに凍ったまま使用しましょう。(保存期間目安1ヶ月)
妊活のおすすめ食材「セロリ」
セロリの香り成分にはイライラを鎮め、気持ちを落ち着かせる効果があります。
また、強い抗酸化作用を持つ成分や、赤ちゃんの脳や神経を作るのに不可欠な葉酸などのビタミンB群もバランス良く含んでいるので、セロリは妊活中にぜひ積極的に食べていただきたい食材です。
セロリ独特の香りは、肉などの臭みを消し、料理の風味を良くしてくれる効果もあります。
日々の食事にセロリを取り入れて、妊娠しやすい体づくりをしましょう。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)