春菊は鍋料理に欠かせない、冬を代表する野菜です。
春菊はキク科の植物であり、春に黄色の花を咲かせる為、その名前が付きました。
関西では菊菜と呼ばれています。
栄養価の高い緑黄色野菜である春菊は妊活におすすめの食材です。
今回は春菊に含まれる栄養素の解説をはじめ、相性の良い食材や春菊を使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
春菊に含まれる栄養素
冬を代表する緑黄色野菜の一つである春菊にはビタミンA(β-カロテン)などのビタミン類やミネラル、食物繊維などが豊富に含まれています。
ここでは、春菊に含まれる栄養素の中から妊活中に有効な働きをする、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンB2および、食物繊維について解説します。
子宮環境を整えて胎児の成長をサポートするビタミンA
ビタミンAには動物性食品に含まれるレチノールと、植物性食品に含まれ、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンがありますが、春菊に含まれるビタミンAは後者のβ-カロテンです。
春菊には、ほうれん草や小松菜をしのぐ量のβ-カロテンが含まれています。
ビタミンAには皮膚や粘膜の状態を整え、細菌感染などから細胞を守ってくれる働きがあり、子宮環境を整えてくれます。
また、妊娠初期の胎児の成長に重要な働きをするので、赤ちゃんが欲しいと思ったら、ぜひとも摂っていただきたい栄養素がビタミンAです。
一方で、ビタミンAは過剰摂取により、胎児に奇形が起こるなどの悪影響が出るとの指摘がされています。
しかし、植物性食品のβ-カロテンには動物性食品のレチノールのような過剰摂取による害はないと言われています。
なぜならば、β-カロテンは体内のビタミンAが足りている時はビタミンAに変わらずに、余った分は体外へ排出されるからです。
アンチエイジング効果があるビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用を持っています。
加齢や日々のストレスにより、体内には酸化物が溜まります。この酸化物がサビです。
当然のことながら、サビは卵子にも溜まり、サビの蓄積は卵子の老化につながってしまいます。
ビタミンEの強い抗酸化作用はそのサビを取り除く働きがあり、卵子の老化予防をしてくれます。
また、ビタミンEには血行を促進する作用もあります。
血行が良くなると卵子に必要な栄養が届き、卵子が健やかに保たれます。
卵子や精子の質を向上させるビタミンB2
ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えるのに欠かせない栄養素です。
また、ビタミンB2には活性酸素によって脂質が酸化してできる「過酸化脂質」を分解する働きもあります。
過酸化脂質は細胞を壊し、細胞の老化を進行させてしまうので、卵子や精子の質も低下してしまいます。
ビタミンB2の過酸化脂質を分解する働きは、卵子や精子の質を向上させてくれます。
さらに、ビタミンB2には、皮膚や粘膜を健康に保つ働きや胎児の発育を助ける働きもあり、妊活中だけでなく、妊娠期もサポートしてくれます。
腸内環境を整える食物繊維
春菊には便秘を予防して、腸内の健康を保つ働きのある食物繊維が含まれています。
腸内の健康を保つことは妊活していく上でとても大切です。
なぜなら、せっかく妊活に効果的な栄養バランスのよい食事を摂っていても、腸内環境が悪ければ、栄養素がうまく消化吸収されず、無駄になってしまうからです。
腸内環境を整えるには腸内の善玉菌を増やすことが大切になります。
春菊に多く含まれている食物繊維は善玉菌のエサとなり、有害物質を減らす働きがあるので、腸内環境を整えるのに適した食材です。
また、赤ちゃんはお母さんの腸内細菌を受け継いで生まれてきます。
と言うのは、出産の時にお腹の赤ちゃんはお母さんの産道を通りますが、その際に産道の細菌を飲み込むことでお母さんの腸内細菌が赤ちゃんに移行するのです。
したがって、妊娠する前の妊活中から、腸内環境を整えておくことはとても大切です。
一緒に食べたい相性の良い食材
春菊と一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
高野豆腐+油でビタミンAの吸収を高めよう
春菊に豊富なβ-カロテンは脂溶性ビタミンであり、油やたんぱく質と一緒に摂ることで吸収が高まります。
春菊と良質なたんぱく質源である高野豆腐とを油を使って調理すれば、栄養効果がアップします。
また、春菊にはβ-カロテンと同じく脂溶性ビタミンであるビタミンEも豊富に含まれているので、ビタミンEの吸収も高まります。
春菊のおすすめレシピ
春菊を使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
春菊と高野豆腐の中華炒め
春菊と相性の良い、高野豆腐と油を使ったレシピです。
春菊に豊富なビタミンAとビタミンEがしっかり摂れるので抗酸化作用が高まります。
◇材料(2人分)
- 春菊…100g
- 高野豆腐…1枚
- 片栗粉…適量
- オリーブ油…大さじ2
- 長ねぎ…40g
- にんにく…1/2片
- しょうが…1/2片
- 塩…適量
- 酒…小さじ2
- ごま油…小さじ1
◇作り方
- 春菊は適当な長さに切る。長ねぎは小口切り、にんにくとしょうがはみじん切りにする。
- 高野豆腐を戻し、水気を絞って短冊切りにし、片栗粉をまぶす。
- フライパンにオリーブ油を熱し、②の高野豆腐入れ、両面を焼き、一旦お皿に取る。
- フライパンに長ネギとにんにく、しょうがを入れて弱火にかけ(オリーブ油が足りないようなら足す)、香りが立ったら、春菊と高野豆腐をさっと炒めて、塩で味付けする。
- ④に酒を加え、仕上げにごま油を回しかけて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 196kcal
- たんぱく質 5.6g
- ビタミンA(β-カロテン) 2267ug
- ビタミンE 2.9mg
- ビタミンB2 0.09mg
- 食物繊維 2.5g
春菊とりんごの胡麻和え
春菊と同様にりんごには腸内環境を整えてくれる食物繊維が豊富に含まれています。
また、りんごの皮部分には強い抗酸化作用のあるポリフェノールも含まれ、ごまに含まれるポリフェノール(セサミン)と合わせれば、りんごとごまに含まれるWのポリフェノールにより抗酸化作用が高まり、卵子の老化予防の効果が期待できます。
◇材料(2人分)
- 春菊…100g
- りんご…1/4
- 調味料
- すりごま…大さじ2
- はちみつ…大さじ1
- 醤油…大さじ1
◇作り方
- 熱湯に塩を入れ、1分程春菊を茹でる。
- ①を冷水に取って冷まし、水気を絞り、食べやすい長さに切る。
- りんごはよく洗っていちょう切りにする。
- ボールに調味料を入れて混ぜ合わせ、春菊とりんごを加えて和え、完成。
レシピではりんごはシナノゴールドを使用しています。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 125kcal
- たんぱく質 3.8g
- ビタミンA(β-カロテン) 2260ug
- ビタミンE 1.0mg
- ビタミンB2 0.12mg
- 食物繊維 3.4g
春菊の保存方法
湿らせた新聞紙で包み、保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で立てて保存し、2~3日で使い切りましょう。
冷凍保存の場合は硬めに茹でて、水気を取り、使いやすい長さに切ってからラップに包み、保存袋に入れて保存し、1ヶ月以内に食べ切りましょう。
妊活のおすすめ食材「春菊」
春菊には、子宮環境を整えて胎児の成長をサポートするビタミンAをはじめ、アンチエイジング効果のあるビタミンEや、卵子や精子の質を向上させるビタミンB2、腸内環境を整える食物繊維など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
相性の良い食材と組み合わせることで、食材の持つ栄養効果もアップします。
妊娠しやすい体づくりの為に、日々の食事に春菊を取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)