長いも、大和いも、自然薯などいろいろな種類がある山いもは、昔から人々に親しまれており、日本では馴染みのある食材です。
また、山いもは別名「山のうなぎ」と言われるほど、栄養素や成分を豊富に含んでおり、妊活におすすめの食材です。
今回は山いもに含まれる栄養素や成分の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材や山いもを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
山いもに含まれる栄養素
山いもはビタミン、ミネラルを豊富に含んでいます。その中でも、カリウム、ビタミンB1、ビタミンCは妊活中には特に必要な栄養素です。
また、山いもには栄養素に近い働きをするコンドロイチン硫酸という細胞の周りで水分をしっかりと蓄えてくれる物質も豊富に含まれており、妊娠の準備期間である妊活中に大切な働きをします。
ここでは山いもに含まれる栄養素や成分の働きを解説します。
卵子の老化を予防するビタミンCやコンドロイチン硫酸
ビタミンCは強い抗酸化作用を持っています。
細胞は活性酸素の害によって体がサビつくことで、老化が引き起こされます。
ビタミンCの強い抗酸化作用は老化の原因である活性酸素から細胞を守る働きがあるので、卵子の老化を予防してくれます。
コンドロイチン硫酸はムコ多糖類の一種で、動物の皮膚や軟骨に存在し、クッションのような働きをしている物質です。
体内のコンドロイチン硫酸は25歳位から減り始め、それと共に体内水分量も減少していき、体内の老化が進んでいきます。
加齢と共に減少していくコンドロイチン硫酸ですが、山いもを食べることで体内に補給されるので、卵子の老化予防効果が期待できます。
浮腫みを予防するカリウム
カリウムにはナトリウムと作用し合い、体内の水分バランスを保つ働きがあります。
体内でカリウムが不足したり、ナトリウムが過剰になると、ナトリウム濃度を下げる為に、細胞内に多くの水分を取り込みます。
すると、血管内の水分が増えて、それが全身に回り、浮腫みの原因となります。
妊活中の浮腫みは子宮や卵巣の機能低下につながるので、カリウムをしっかり摂って、浮腫みを予防しましょう。
疲労回復効果のあるビタミンB1
ビタミンB1は糖質の代謝に深く関わっている栄養素です。
ビタミンB1には糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労の回復を助け、精神を安定させる働きがあります。
疲れをため込まないこと、メンタルを安定させることは妊活中の体づくりにとても大切です。
生で食べるのがベスト
山いもに含まれる栄養素や成分は熱に弱いものが多いので、これらの栄養効果を期待するのであれば、加熱せずに食べることをおすすめします。
山いもはいも類の中では珍しく生で食べることができる食材です。
熱による栄養成分の損失を最小限にする為に、山いもを加熱する場合は大きめに切り、加熱は短時間で済ませましょう。
また、とろろご飯を食べる時は熱々のご飯ではなく少しご飯を冷ましてからとろろをかける、などの工夫をして、山いもに含まれる栄養素や成分を効率的に摂り入れましょう。
一緒に食べたい相性の良い食材
山いもと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
タウリン豊富なホタテと合わせて食べよう
ホタテに豊富に含まれるタウリンや亜鉛には卵子や精子を元気にし、生殖機能を高める働きがあります。
また、ホタテは他の貝類と比べてたんぱく質の含有量が約2倍と多く、健康な体の土台となるたんぱく質の補給源となります。
山いものネバネバ成分はたんぱく質の代謝に関わっているので、スタミナアップに効果的です。
山いもとホタテの食べ合わせは妊活中の女性だけでなく、男性にもおすすめです。
カップルで食べて、活力に満ちた妊活生活を送りましょう。
山いものおすすめレシピ
山いもを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
長いもとホタテのポン酢ジュレ
山いもと相性の良いホタテを使ったレシピです。
ホタテには過酸化脂質を分解するビタミンB2が豊富に含まれています。この働きは卵子や精子の老化予防になります。
山いもに含まれるビタミンCの抗酸化作用と合わせれば、相乗効果で卵子や精子の老化予防効果が高まります。
◇材料(2人分)
- 長いも…100g
- ホタテ貝柱刺身用…4個(80g)
- 万能ねぎ小口切り…少々
ポン酢ジュレ【作りやすい分量】
- A.
- ポン酢…100㏄
- 水…100㏄
- B.ゼラチン液
- 水…50㏄
- ゼラチン…5g
- 三温糖…小さじ2
◇作り方
- 【ポン酢ジュレを作る】小さめの耐熱容器にBの水50㏄を入れ、ゼラチンと三温糖を振り入れる。
ゼラチンと三温糖が水に馴染んだら、レンジで40秒加熱し、混ぜる。
ボールにAのポン酢と水を入れ、ゼラチン液を加えてよく混ぜる。冷蔵庫で1時間程度冷やし固めて、ポン酢ジュレの完成。 - 長芋は皮をむき、5㎜程度の細切りにする。ホタテは4等分に切る。
- お皿に長芋とホタテを盛り付け、上から①で作ったポン酢ジュレをかけ、お好みで万能ねぎを散らして、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 72kcal
- たんぱく質 8.3g
- カリウム 367㎎
- ビタミンB1 0.05㎎
- ビタミンC 4㎎
とろろそば
そばは主食となる食材の中でもGI(グリセミック・インデックス)値が低く、血糖値の上昇が緩やかなので、妊活中の食事に適しています。
また、山いもはすりおろすと消化酵素が働いて、そばに含まれる糖質を効率よくエネルギーに変えてくれます。
さらに、とろろと共に、なめことわかめのヌメリ成分が妊娠しやすい体をつくる手助けをしてくれます。
◇材料(1人分)
- そば(乾)…80g
- 長いも…70g
- なめこ…40g
- わかめ…20g
- そばつゆ…適宜
◇作り方
- そばを表示の時間より30秒程度短めに茹でて、冷水に取り水切りする。長いもは皮をむき、すりおろす。なめこは流水で洗う。わかめは食べやすい大きさに切る。
- 鍋にそばつゆを入れて温め、①のそばを入れ、再び温まったら火を止めて器に盛り付ける。その際、鍋にそばつゆを少量残しておく。
- そばつゆの残った鍋になめことわかめを入れ、中火にかけ、ひと煮立ちしたら、火を止める。器に盛ったそばの上になめことわかめを盛り付け、最後に長いも(とろろ)をかけて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 407kcal
- たんぱく質 17.4g
- カリウム 783㎎
- ビタミンB1 0.43㎎
- ビタミンC 4㎎
山いもを使った他の妊活レシピを見る
山いもの保存方法
常温保存
カットしていない皮がついたままの山いもは新聞紙に包み、冷暗所で保存します。(保存期間目安1ヶ月)
冷蔵保存
カットされた状態で売られていたり、使いかけの山いもは切り口をラップでしっかりと包み、保存袋に入れて保存します。(保存期間目安1週間)
冷凍保存
皮をむいて酢水につけてから、すりおろし、保存袋に入れて保存します。
6. 山いもで妊娠力を高めましょう
山いもに含まれる、カリウム、ビタミンB1、ビタミンCおよび、コンドロイチン硫酸には妊娠力アップにつながる様々な働きがあります。
妊活のおすすめ食材である山いもを日々の食事に取り入れて、妊娠力を高めましょう。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)