くるみで妊娠力アップ!妊活中の栄養・レシピ解説

くるみ 野菜・いも類・果物

くるみは「スーパーフード」としてテレビや雑誌などにも多く取り上げられる食材です。スーパーフードとは、「一般の食品よりビタミン、ミネラル、クロロフィル、アミノ酸といった、必須栄養素や健康成分を多く含む、主に植物由来の食品のこと」と定義されています。
スーパーフードと呼ばれ、栄養価が高いくるみには、妊活中に必要な栄養素もたくさん含まれており、妊娠力を高めたい方におすすめの食材です。

今回はくるみに含まれる栄養素の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材やくるみを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。

くるみに含まれる栄養素

くるみの主成分は脂質で全体の7割近くを占めています。
脂質の他にも、たんぱく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
くるみの主成分である脂質には、質の良い脂である不飽和脂肪酸が多く含まれています。
また、くるみのたんぱく質には必須アミノ酸の一つであるフェニルアラニンが含まれます。

ここでは、くるみに含まれる栄養素の中から妊活中に有効な働きをする、不飽和脂肪酸、フェニルアラニン、ビタミン、ミネラルについて解説します。

生殖機能を向上させる不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸)

くるみに含まれる不飽和脂肪酸にはオメガ3脂肪酸という脂肪酸が豊富に含まれています。
このオメガ3脂肪酸は、くるみ以外の食材では、サバやイワシなどの青魚の脂質(EPA、DEA)に豊富に含まれており、体内で合成できない為、食事から摂る必要があります。

オメガ3脂肪酸は体の細胞膜を作る原料となります。
妊活に関わる事としては、子宮粘膜をつくる材料となり、子宮環境を整え、女性ホルモンの作用を高める働きがあります。
また、男性がくるみを摂取したところ、精子の質が改善したとの研究結果もあり、オメガ3脂肪酸は男女ともに生殖機能に深く関わっている栄養素です。

活力を生み出すフェニルアラニン

フェニルアラニンはたんぱく質を構成するアミノ酸の一つです。
体内では20種類のアミノ酸がいろいろな組み合わせによって結合し、多種多様なたんぱく質をつくっています。
その中で9つのアミノ酸は体内で合成できない為、食品から摂る必要があり、その9つのアミノ酸を必須アミノ酸と言います。

くるみに含まれるフェニルアラニンは必須アミノ酸の一つで、不足すると血液や筋肉、ホルモンなどの合成ができなくなってしまいます。
必須アミノ酸であるフェニルアラニンは、健康な体の土台となるたんぱく質をつくる為に欠かせない栄養素なのです。

また、フェニルアラニンには精神を高揚させて、活力を生み出す作用もあるので、フェニルアラニンが含まれるくるみは、妊活力アップにおすすめの食材と言えます。

豊富なビタミン類

ビタミンは体のあらゆる働きを正常に保つ為に不可欠な栄養素であり、くるみにはこのビタミン類が豊富に含まれています。

◇ビタミンE

ビタミンEは強い抗酸化作用を持っています。
細胞は活性酸素によって酸化することで、老化や病気が引き起こされます。
ビタミンEは老化の原因である活性酸素から細胞を守る働きがあるので、卵子の老化も予防してくれます。

◇ビタミンB群

ビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類があります。
これらのビタミンは体内でそれぞれ重要な働きをしますが、お互いに影響して働きを高める為、複数のビタミンB群を組み合わせて摂ることで、吸収率も高まり、効率良く働きます。

胎児の発育に関与するミネラル

◇カルシウム

カルシウムは骨や歯をつくるのに不可欠な栄養素で、筋肉を動かしたり、精神の安定にも働きます。
妊娠すると、おなかの赤ちゃんは胎盤を通してお母さんからカルシウムをもらい、出産後は母乳を通してカルシウムをもらいます。
その為、赤ちゃんに十分なカルシウムをあげられるように、妊娠の準備期である妊活中から十分なカルシウムを摂っておく必要があります。

◇鉄

鉄には赤血球をつくり、貧血を予防する働きがあります。
鉄は月経のある年代のほとんどの女性が不足している栄養素で、多くの女性が「潜在的な鉄欠乏」の状態にあると言われます。

妊娠すると、おなかの赤ちゃんに酸素を届ける為に、妊娠前の2倍の赤血球が必要になります。
妊娠すると貧血になりやすいのはこの為です。
妊娠した時からお腹の赤ちゃんに十分な酸素を届けられるよう、妊娠の準備期である妊活中から鉄の摂取を意識し、貧血を予防しましょう。

適正量を守って食べましょう

スーパーフードと呼ばれ、栄養価がとても高いくるみにはオメガ3脂肪酸をはじめ、妊活中に必要な栄養素が多く含まれています。
しかし、くるみの主成分は脂質なので、食べ過ぎの状態が続くと、体内で消費しきれない脂質は体脂肪となり、肥満の原因となります。
したがって、くるみは適正量を守って食べることが大切になります。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、オメガ3脂肪酸の一日の摂取目安量は1.6gとされています。
これはくるみに換算すると、10粒程(約28g)です。
この量を守って、日々の料理やおやつに摂り入れていきましょう。

一緒に食べたい相性の良い食材

くるみと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。

オメガ3脂肪酸が豊富な青魚と合わせて食べよう

くるみと同様に、サバやイワシ、アジ、サンマなどの青魚にはオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
くるみと青魚を一緒に食べることで、相乗効果で植物および海洋由来のオメガ3脂肪酸の健康効果が高まります。

また、青魚に含まれるDHA、EPAには脳の働きを高める働きがあります。
DHA、EPAは母乳を通して赤ちゃんに与えられることになりますので、妊娠の準備期である妊活中からしっかり摂ることで、生まれてくる赤ちゃんの知能アップが期待できます。

くるみのおすすめレシピ

くるみを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。

さばのくるみ味噌煮

くるみと相性の良い青魚のさばを使ったレシピです。
さばの血合い部分に含まれる鉄は貧血予防に効果的です。
また、生姜やねぎなどは体を温めてくれるので、妊娠の大敵である冷えの予防や改善をしてくれます。

◇材料(2人分)

  • さば…2切れ
  • 生姜…1/2片
  • ねぎ…1本
  • くるみ…5g

調味料

  • 味噌…大さじ1/2
  • 水…50cc
  • 酒…25㏄
  • みりん…大さじ1
  • 醤油…大さじ1/2
  • 三温糖…大さじ1

◇作り方

  1. 生姜は輪切りにする。ねぎは4㎝程度に切る。くるみは粗くつぶす。
  2. フライパンに味噌以外の調味料と生姜とさばを入れ(さばは皮面を上にする)、落し蓋をして、火にかけ、煮立ったら弱火にし、15分程度煮る。
  3. 落し蓋を外して、②の煮汁の少量を器に取り、味噌を溶かし、②のフライパンに戻す。
  4. ③にくるみとねぎを加えて、時々さばに煮汁をかけながら、さらに10分程度煮て、照りが出てきたら、完成。

◇栄養成分(1人分)

  • エネルギー 310kcal
  • たんぱく質 18.5g
  • 脂質 17.1g
  • ビタミンE 1.2㎎
  • ビタミンB群(B1 0.20㎎/B2 0.28㎎/ナイアシン 9.7㎎/B6 0.55mg/B12 10.3ug/葉酸 38ug/パントテン酸 0.64mg)
  • カルシウム 26㎎
  • 鉄 1.3㎎

さばのくるみ味噌煮

くるみ入りチョップドサラダ

ビタミンCを含む野菜やレモンとビタミンEが豊富なくるみを合わせることで、ビタミンEの抗酸化作用が高まり、卵子の老化予防に効果的です。
また、くるみに含まれる鉄はビタミンCと合わせて摂ると、吸収が高まるので、ビタミンCを含む野菜やレモンと一緒に食べることによって、貧血予防にも効果的です。

◇材料(2人分)

  • くるみ…25g
  • パプリカ(赤・黄)…各1/4個
  • きゅうり…1/2本
  • ミニトマト…4個
  • コーン缶…1/2缶
  • ロメインレタス…3枚

ドレッシング

  • 粉チーズ…大さじ1と1/2
  • オリーブ油…大さじ1/2
  • レモン汁…小さじ1弱
  • 塩、黒こしょう…少々

◇作り方

  1. くるみは乾煎りして、粗くつぶす。
  2. パプリカ、きゅうりは1㎝角に切る。ミニトマトは4等分に切る。コーンは水を切る。ロメインレタスは一口大にちぎる。
  3. ボールにドレッシングの材料を入れ、ホイッパーで良く混ぜ合わせる。
  4. ③に①と②の材料を入れ、全体にドレッシングが馴染むように和えて、完成。

◇栄養成分(1人分)

  • エネルギー 212kcal
  • たんぱく質 5.5g
  • 脂質 16.3g
  • ビタミンE 2.6㎎
  • ビタミンB群(B1 0.01㎎/B2 0.14㎎/ナイアシン 1.1㎎/B6 0.26mg/B12 0.1ug/葉酸 68ug/パントテン酸0.45mg)
  • ビタミンC 71㎎
  • カルシウム 84㎎
  • 鉄 0.8㎎

くるみ入りチョップドサラダ

くるみの保存方法

くるみは、密閉容器などに入れ、冷蔵庫または冷凍庫で保存しましょう。
また、くるみは他の食品のにおいを吸収する為、においが強い食品と一緒の保存は避けましょう。

くるみで妊娠力を高めましょう

くるみには、不飽和脂肪酸の一つであるオメガ3脂肪酸をはじめ、必須アミノ酸のフェニルアラニンやビタミン類、カリウムなど、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
スーパーフードと呼ばれ、栄養価が高いくるみは妊娠力アップにおすすめの食材です。
妊活中のおすすめ食材であるくるみを日々の食事に取り入れて、妊娠力を高めましょう。

執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)