おにぎりや手巻き寿司など、焼きのりはお米を主食とする日本の食文化にとても馴染み深い食材です。
一回の食事で食べられる焼きのりの量はお米などの食品に比べると僅かですが、焼きのりには妊活中に必要な沢山の種類の栄養素が含まれています。
今回は焼きのりに含まれる栄養素の解説をはじめ、相性の良い食材や焼きのりを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
焼きのりに含まれる栄養素
焼きのりに含まれる栄養素の中でも妊活中に重要な働きをするのが、ビタミンB群、ビタミンAとビタミンC、そして、食物繊維です。
ここではこれらの栄養素について解説します。
妊活に大活躍するビタミンB群
ビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類があります。
これらのビタミンは体内でそれぞれ重要な働きをしますが、お互いに影響して働きを高める為、複数のビタミンB群を組み合わせて摂ることで、吸収率も高まり、効率よく働きます。
ビタミンB群の一つである葉酸は胎児の脳や神経を作るのに不可欠な栄養素で、厚生労働省も妊娠を希望する女性に積極的な摂取を勧めています。
また、葉酸とビタミンB12にはお互いに協力して、赤血球をつくり、貧血を予防する働きがあります。
葉酸とビタミンB12が不足すると、鉄を十分に摂っていても貧血になり、これを悪性貧血と言います。
妊娠すると、おなかの赤ちゃんに酸素を届ける為に、妊娠前の2倍の赤血球が必要になります。妊娠すると貧血になりやすいのはこの為です。
妊娠した時からお腹の赤ちゃんに十分な酸素を届けられるよう、妊活中から鉄だけでなく、葉酸、ビタミンB12の摂取を意識することが大切です。
このように、ビタミンB群はお互いに影響して働きを高める為、ビタミンB群を多く含む焼きのりは妊活中におすすめの食材です。
強い抗酸化作用を持つビタミンAとビタミンC
ビタミンAには動物性食品に含まれるレチノールと、植物性食品に含まれ、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンがありますが、焼きのりに含まれるビタミンAは後者のβ-カロテンです。
ビタミンAには粘膜を健康に保つ働きがあるので、子宮環境を整えてくれます。
また、妊娠初期の胎児の成長にも重要な働きをするほか、強い抗酸化作用を持っています。
また、焼きのりに含まれるビタミンCもビタミンAと同様に強い抗酸化作用を持っています。
細胞は活性酸素によって酸化することで、老化や病気が引き起こされます。
ビタミンCは老化の原因である活性酸素から細胞を守る働きがあるので、卵子の老化も予防してくれます。
このように、ビタミンAとビタミンCは妊娠しやすい体づくりをサポートしてくれます。
腸内環境を整える食物繊維
焼きのりには便秘を予防して、腸内の健康を保つ働きのある食物繊維が含まれています。
腸内の健康を保つことは妊活していく上でとても大切です。
なぜなら、せっかく妊活に効果的な栄養バランスのよい食事を摂っていても、腸内環境が悪ければ、栄養素がうまく消化吸収されず、無駄になってしまうからです。
また、赤ちゃんはお母さんの腸内細菌を受け継いで生まれてきます。
と言うのは、出産の時にお腹の赤ちゃんはお母さんの産道を通りますが、その際に産道の細菌を飲み込むことでお母さんの腸内細菌が赤ちゃんに移行するのです。
したがって、妊娠する前の妊活中から、腸内環境を整えておくことはとても大切です。
焼きのりに含まれる食物繊維はアルギン酸と呼ばれ、腸内環境を整える働き以外に、食べた物の余分な脂質や糖質を排出するという働きもあります。
一緒に食べたい相性の良い食材
焼きのりと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
「お米+焼きのり」で心も体も健康に
焼きのりに含まれるビタミンB群の一つであるビタミンB1は、糖質の代謝に深く関わっている栄養素です。
ビタミンB1には糖質を効率よくエネルギーに変えて肥満を防ぐ働きがあります。
また、疲労の回復を助け、精神を安定させる働きもあります。
したがって、ビタミンB1は妊活中の心身の健康を維持するためにとても大切な栄養素と言えます。
お米と焼きのりを一緒に食べる、おにぎりや手巻き寿司などは栄養面から見ても、とても理にかなった料理なのです。
焼きのりのおすすめレシピ
焼きのりを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
おにぎらず
焼きのりと相性の良い、お米を使ったレシピです。
卵に含まれる良質なたんぱく質は「焼きのり+お米」に不足しているたんぱく質を補います。
また、完全栄養食品と言われる卵ですが、ビタミンCと食物繊維は含まれていません。
卵だけで補えないこれらの栄養素は焼きのりで補うことができます。
◇材料(1人分)
- ご飯…100g
- 焼きのり…1枚
- 卵…1個
- レタス…適量
- 塩…少々
調味料
- 三温糖…小さじ1
- 白だし…小さじ1
- 水…小さじ2
◇作り方
- 【だし巻き卵を作る】ボールに卵を割り入れ、調味料を加えて混ぜ合わせる。卵焼き器に油(分量外)を熱し、1/2量の卵液を流し入れ、3等分に巻き込む。さらに残りの卵液を流し入れ、同様に焼く。出来上がっただし巻き卵を2等分に切る。
- 焼きのりの中心部にご飯の半分量をのせ、軽く塩を振り、その上にだし巻き2個、レタス、残りのご飯の順に重ねて、焼きのりの四隅を折り込み、ラップで包む。
- ②の焼きのりが馴染んだら、包丁で半分に切り、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 262kal
- たんぱく質 9.9g
- ビタミンB群(B1 0.07㎎/B2 0.30㎎/ナイアシン 0.6㎎/B6 0.06mg/B12 2.2ug/葉酸 82ug/パントテン酸 1.01mg)
- ビタミンA(β-カロテン) 819ug
- ビタミンC 6㎎
- 食物繊維 1.4g
豆苗のり和え
豆苗はえんどう豆の新芽の部分で「豆」と「緑黄色野菜」の両方の栄養素を併せ持った野菜です。
焼きのりと同様に豆苗にはビタミンB群やビタミンAが豊富に含まれているので、相乗効果でこれらの栄養素の働きが高まります。
また、ごま油にはビタミンAなど脂溶性ビタミンの吸収を高める働きがあります。
これによって、ビタミンAの抗酸化作用が高まるので、卵子の老化予防にも効果的です。
◇材料(2人分)
- 豆苗…1袋
- 焼きのり…1枚
- 醤油…小さじ1
- ごま油…小さじ1
◇作り方
- 豆苗は根元を切り落とし落とし、3等分に切る。
- 沸騰したお湯に塩を入れ(分量外)、①の豆苗を5~10秒程度軽く茹でて、ザルに取る。
- ②の水気を切り、ちぎった焼きのりと醤油、ごま油を加えて和える。お皿に盛り付けて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 40kcal
- たんぱく質 3.4g
- ビタミンB群(B1 0.14㎎/B2 0.21㎎/ナイアシン 0.9㎎/B6 0.12mg/B12 1.7ug/葉酸
- 103ug/パントテン酸 0.45mg)
- ビタミンA(β-カロテン) 2860ug
- ビタミンC 46㎎
- 食物繊維 2.7g
焼きのりの保存方法
焼きのりは湿気、高温、日光を嫌います。
開封したものは、袋ごと(乾燥剤も一緒に)保存袋に入れて空気を抜き、密閉します。
すぐに使い切る場合は直射日光と高温多湿を避けて常温で保存可能です。
冷蔵庫での保存期間は1~2ヶ月が目安です。
冷凍庫での保存期間は1年が目安です。
焼きのりで妊娠しやすい体づくりを
焼きのりには、ビタミンB群、ビタミンA、ビタミンC、および食物繊維など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
長期保存が可能な焼きのりは、お米と一緒に食べたり、料理にプラスするなど、いつでも手軽に使える食材です。
妊娠しやすい体づくりの為に、日々の食事に焼きのりを取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)