干し椎茸は、椎茸を天日乾燥させて作られたものです。
天日乾燥することによって、椎茸の旨味と香りが濃厚になり、さらに、栄養素も凝縮されます。
椎茸の栄養素をたっぷり含んだ干し椎茸は妊活中におすすめの食材です。
今回は干し椎茸に含まれる栄養素の解説をはじめ、戻し汁の効果、相性の良い食材、干し椎茸を使ったレシピや保存方法などをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
干し椎茸に含まれる栄養素
きのこ類である干し椎茸には、きのこと同様にビタミン類や食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。
ここでは干し椎茸に多く含まれる栄養素がどのように妊活に有効なのか、その働きを解説します。
カルシウムと共に丈夫な骨をつくるビタミンD
きのこ類に多く含まれるビタミンDは、きのこに日光を当てることで増やすことができます。
これは、きのこに含まれるエルゴステロール(プロビタミンD2)という物質が日光(紫外線)に当たることでビタミンDに変化することによります。
その為、椎茸を天日乾燥させた干し椎茸にはビタミンDがより豊富に含まれています。
ビタミンDには、骨の材料となるカルシウムの吸収を促進し、カルシウムを骨や歯に届ける働きがあり、丈夫な骨や歯をつくる為に不可欠な栄養素です。
また、最近の研究でビタミンDには免疫作用の調整をする役割もあることが分かり、注目されています。
妊娠に関わる事として、ビタミンDは子宮内膜の環境を整え、着床に必要であることが分かってきました。
腸内環境を整える食物繊維
もともと食物繊維が豊富なきのこ類ですが、干し椎茸にはさらに多くの食物繊維が含まれています。
食物繊維には、便秘を予防して、腸内の健康を保つ働きがあります。
腸内の健康を保つことは妊活していく上でとても大切です。
なぜなら、せっかく妊活に効果的な栄養バランスのよい食事を摂っていても、腸内環境が悪ければ、栄養素がうまく消化吸収されず、無駄になってしまうからです。
また、干し椎茸に含まれる食物繊維には免疫力を高める働きもあります。
免疫細胞の多くは腸内に集まっているので、腸内環境を整えることは、免疫力を高めることにつながります。
さらに、干し椎茸の食物繊維は不溶性なので、水溶性食物繊維が豊富な昆布やわかめと合わせて食べることで便秘の予防・解消に一層効果的です。
妊活中の強い味方ビタミンB1とB2
干し椎茸にはビタミンB1やビタミンB2が含まれています。
ビタミンB1とビタミンB2はビタミンB群に属し、お互いに影響し合いながら、体内でそれぞれ重要な働きをします。
ビタミンB1は糖質の代謝に深く関わっている栄養素です。
ビタミンB1には糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労の回復を助け、精神を安定させる働きがあります。
疲れをため込まないこと、精神を安定させることは妊活中の体づくりにとても大切です。
ビタミンB2は脂質の代謝に深く関わっている栄養素です。
ビタミンB2には、活性酸素によって脂質が酸化してできる「過酸化脂質」を分解する働きがあり、卵子や精子の老化を予防してくれます。
干し椎茸の戻し汁は栄養と旨味の宝庫
干し椎茸を水戻しすると、浸していた水は薄茶色に色付きます。
これが干し椎茸の戻し汁です。
干し椎茸に含まれる栄養素にはビタミンB群など、水に溶けやすいものが多いので、水に浸すことによって多くの栄養素が水に溶け出します。
また、栄養素と一緒に干し椎茸特有の旨味成分である「グアニル酸」も水に溶け出します。
したがって、干し椎茸の戻し汁には栄養と旨味がたっぷり含まれています。
この戻し汁を捨ててしまうことは、せっかくの栄養と旨味を無駄にしてしまうことになります。
戻し汁をしっかりと料理に使って、干し椎茸の栄養と旨味を余すことなく味わいましょう。
一緒に食べたい相性の良い食材
干し椎茸と一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
カルシウム豊富な豆腐と合わせて食べよう
干し椎茸に豊富に含まれるビタミンDにはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。
カルシウム豊富な豆腐と合わせれば、カルシウムの吸収率がアップします。
カルシウムは赤ちゃんの骨や歯をつくるのに不可欠で、筋肉を動かしたり、精神の安定にも働き、妊活中の体づくりに大切な栄養素です。
水溶性食物繊維が豊富な昆布と合わせて食べよう
食物繊維は水溶性と不溶性をバランス良く摂取することで、便秘の予防・改善に一層効果を発揮します。
不溶性食物繊維が豊富な干し椎茸と水溶性食物繊維が豊富な昆布は、腸内環境を整えるおすすめの組み合わせです。
干し椎茸のおすすめレシピ
干し椎茸を使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
炒り豆腐
干し椎茸と相性の良い豆腐を使ったカルシウムたっぷりのレシピです。
大豆が原料の豆腐は、妊活に必須な良質なたんぱく質を含みます。
また、卵や小松菜など、複数の食材を使う炒り豆腐は様々な栄養素をバランス良く摂ることができる妊活におすすめの一品です。
◇材料(2人分)
- 木綿豆腐…1/2丁(200g)
- 人参…50g
- 玉ねぎ…50g
- 干し椎茸…2枚
- ちくわ…1本
- 卵…1/2個
- 小松菜…30g
- ごま油…大さじ1/2
- 干し椎茸の戻し汁…50㏄
- 調味料
- 醤油…大さじ1
- みりん…大さじ1
- 酒…大さじ1/2
◇作り方
- 干し椎茸は容器に浸かるくらいの水を入れ、冷蔵庫で戻す。(約3~4時間)
- 豆腐は水気を切っておく。人参、玉ねぎ、戻した椎茸をみじん切りにする。ちくわは薄い輪切りにする。小松菜は1㎝程度の長さに切る。
- フライパンにごま油を熱し、水気を切った豆腐を手でほぐして入れ、ある程度炒めたら、人参、玉ねぎ、椎茸、ちくわを加えてさらに炒める。
- ③に火が通ったら、戻し汁と調味料を加えて、水分が半分位になるまで炒める。
- ④に小松菜と溶いた卵を加えて炒め、汁気がほとんどなくなったら、完成。
干し椎茸の水戻し時間は、大きさなどによって異なりますので調整して下さい。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 190kcal
- たんぱく質 11.3g
- ビタミンD 0.7ug
- 食物繊維 3.0g
- ビタミンB1 0.14㎎
- ビタミンB2 0.19㎎
干し椎茸と昆布の煮物
干し椎茸と相性の良い昆布を使った食物繊維たっぷりのレシピです。
干し椎茸の旨味成分「グアニル酸」は昆布の旨味成分「グルタミン酸」と一緒に調理することで、相乗効果で旨味が増加し、さらに美味しくなります。
◇材料(2人分)
- 干し椎茸…6~7枚
- 昆布(10cm角)…2枚
- 生姜…少々
- 干し椎茸の戻し汁…200㏄
- 調味料
- 醤油…大さじ1
- 三温糖…大さじ1
- 酢…小さじ1
◇作り方
- 干し椎茸は容器に浸かるくらいの水を入れ、冷蔵庫で戻す。(約3~4時間)
- 戻した椎茸は薄切りにする。昆布は椎茸とくらいの長さにし、5㎜幅に切る。生姜はせん切りにする。
- 鍋に②と戻し汁を入れ、火にかける。
- ③が煮立ったら、調味料を加えて、汁気がほとんどなくなるまで煮詰めて、完成。
干し椎茸の水戻し時間は、大きさなどによって異なりますので調整して下さい。
昆布はだしをとった後のものを使いましょう。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 61kcal
- たんぱく質 3.5g
- ビタミンD 1.3ug
- 食物繊維 7.8g
- ビタミンB1 0.10㎎
- ビタミンB2 0.22㎎
干し椎茸の保存方法
開封した干し椎茸は、乾燥剤を入れた密閉容器に保存しましょう。
水で戻した干し椎茸は、冷蔵保存か冷凍保存しましょう。
食べやすい大きさに切り、ラップに包み、保存袋に入れます。
保存期間の目安は冷蔵保存で5日、冷凍保存は1ヶ月です。
干し椎茸で妊娠力を高めましょう
干し椎茸には、カルシウムと共に骨を丈夫にするビタミンDや腸内環境を整える食物繊維、糖質や脂質の代謝に関わるビタミンB1・B2など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
また、戻し汁を活用し、相性の良い食材と組み合わせることで、栄養効果や旨味もアップします。
日々の食事に干し椎茸を取り入れて、妊娠力を高めましょう。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)