「ハーブの王様」とも言われるバジルは、パスタなどのイタリア料理に欠かせない存在です。
香味野菜として使われるバジルは、料理の味を引き立たせてくれる名脇役。
一回で食べられる量は僅かですが、妊活中の方におすすめの栄養素のほか、精油成分も豊富に含まれています。
今回はバシルに含まれる栄養素や成分の解説をはじめ、取り扱い時の注意点、相性の良い食材やバシルを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
バジルに含まれる栄養素
バジルには、ビタミンAなどの栄養素のほか、バジル独特のほんのり甘くてスパイシーな香りが特徴の精油成分が豊富に含まれています。
ここでは、バジルに含まれる栄養素や成分の中から、ビタミンA、ビタミンE、カルシウム、鉄、精油成分の働きについて解説します。
卵子の老化を予防するビタミンAとビタミンE
バジルには、強い抗酸化作用を持つ、ビタミンA(β-カロテン)やビタミンEが豊富に含まれています。
ビタミンAとビタミンEの強い抗酸化作用は卵子の老化を予防してくれます。
ビタミンAには皮膚や粘膜の状態を整え、細菌感染などから細胞を守ってくれる働きもあり、子宮環境を整えてくれます。
また、妊娠初期の胎児の成長にも重要な働きをします。
ビタミンEには血行を促進する作用もあります。
血行が良くなると卵子に必要な栄養が届き、卵子が健やかに保たれます。
強い抗酸化作用を持つ、ビタミンAとビタミンEは妊活中の強い味方となる栄養素です。
赤ちゃんが欲しいと思ったら、積極的に摂ることをおすすめします。
赤ちゃんの骨や歯をつくるカルシウム
カルシウムは骨や歯をつくるのに不可欠な栄養素で、筋肉を動かしたり、精神の安定にも働きます。
カルシウムは赤ちゃんの発育には欠かせない栄養素で、お母さんのおなかの中にいる時は胎盤を通してカルシウムをもらい、歯や骨が作られます。
また、出産後も母乳を通してカルシウムをもらいます。
したがって、赤ちゃんに十分なカルシウムをあげられるように、妊娠の準備期である妊活中から十分なカルシウムを摂っておく必要があります。
日本人にとってカルシウムは慢性的に不足している栄養素であり、食事からの摂り過ぎによる害を心配する必要はありません。
しかし、サプリメントからの摂り過ぎが続くと健康を害する場合があるので注意しましょう。
妊活女性に不足している鉄
鉄は月経のある年代のほとんどの女性が不足している栄養素で、多くの女性が「潜在的な鉄欠乏」の状態にあると言われます。
鉄には動物性食品由来のヘム鉄と植物性食品由来の非ヘム鉄の2種類があり、バジルには後者の非ヘム鉄が含まれています。
この2種類の鉄の大きな違いは吸収率です。
バジルに含まれる非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収されにくいという性質があります。
吸収されにくい非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂取することで体内に吸収されやすくなります。
女性は月経による出血だけでなく、妊娠による胎児への補給、そして、出産時の出血などにより、沢山の鉄を失います。
その為、妊活中から鉄の摂取を意識し、貧血を予防することが大切です。
集中力やリラックス効果を高める精油成分
バジル独特のほんのり甘くてスパイシーな香りは、リナロールに代表される複数の香り成分によるものです。
バシルの香り成分には、鎮痛作用、食欲増進、抗菌作用などがあるほか、集中力やリラックス効果を高める働きがあり、料理に添えるだけでも効果を発揮します。
リナロールが主成分であるバシルの精油は、開花期のバジルの葉と花から抽出され、アロマテラピーなどに利用されています。
ストレスと妊娠は深く関わっており、不安や緊張でピリピリしている精神状態が続くと、妊娠しやすい体は遠のいてしまいます。
バジルの精油成分はリラックス効果を高めて、イライラや不安などの精神状態にも働きかけるので、妊活中に大切なゆったりとした気持ちに導いてくれます。
肌には刺激になる精油成分
集中力やリラックス効果を高めてくれるバシルの精油成分ですが、皮膚刺激性がある精油の為、敏感肌の方は特に注意が必要です。
使用の際は取り扱い方法をきちんと確認しましょう。
一緒に食べたい相性の良い食材
バジルと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
リコピンが豊富なトマトと合わせて食べよう
バジルはトマトとの相性が抜群です。
トマトに豊富に含まれる赤色色素成分「リコピン」とバジルに含まれるビタミンAとビタミンEは、いずれも強い抗酸化作用を持っているので、卵子の老化予防に効果的です。
また、トマトにはビタミンCも豊富です。
バシルとトマトを一緒に食べることで強い抗酸化作用を持つ3つのビタミン(A・C・E)が揃います。
この3つのビタミンはビタミンACE(エース)と呼ばれ、卵子の老化予防に相乗効果で力を発揮します。
バジルのおすすめレシピ
バジルを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
バジルとトマトのサラダ
バジルと相性の良いトマトを使ったレシピです。
バジルに含まれるビタミンAとビタミンE、そして、トマトに含まれるリコピンはいずれも脂溶性なので、オリーブ油と合わせて摂ることで吸収率が高まります。
また、バジルは手でちぎることでより豊かな香りになります。
◇材料(2人分)
- トマト…大1個(250g)
- バジルの葉…5枚~
- オリーブ油…大さじ2
- 塩…少々
◇作り方
- トマトを食べやすい大きさに切る。
- ボールに①のトマトとちぎったバジルの葉、オリーブ油、お好みで塩を加えて、和える。
- 冷蔵庫で冷やして、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 135kcal
- たんぱく質 0.9g
- ビタミンA(β-カロテン) 823ug
- ビタミンE 2.1mg
- カルシウム 14mg
- 鉄 0.3mg
ジェノベーゼポテト
じゃがいもはビタミンCが豊富です。
一般的にビタミンCは熱に弱いのですが、じゃがいものビタミンCはデンプン質に覆われている為、加熱しても壊れにくいという特徴があります。
また、じゃが芋のビタミンCはバジルに含まれる非ヘム鉄の吸収を高めてくれるので、貧血予防に効果的です。
◇材料(2人分)
- じゃがいも…1個(180g)
- バシルペースト…大さじ1
- 塩・こしょう…少々
◇作り方
- じゃがいもは皮をむき、小さめの一口大に切り、レンジで3~4分加熱する。
- ①のじゃがいもをテフロン加工のフライパンで空炒りし、フライパンをゆすりながら水分を飛ばす。
- 火を止めて、バジルペーストを加えて和え、塩・こしょうで味を整えて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 97kcal
- たんぱく質 1.9g
バジルの保存方法
バジルの保存方法をご紹介します。
常温保存
コップに水を入れ、バジルの茎部分を挿して、室内で保存します。
1~2日のうちに食べ切りましょう。
冷蔵保存
バジルは傷みが早く、低温障害で黒ずみを起こしやすいので、早めに食べ切りましょう。
冷凍保存
茎から葉を取り、葉だけを保存します。
または、ペーストなどに加工して保存します。
乾燥保存
レンジなどを使用して乾燥させたバジルをすり鉢で粉末状にし、乾燥剤と共に瓶に入れて保存します。
バジルで妊娠しやすい体づくりを
バジルには、卵子の老化を予防するビタミンAとビタミンEをはじめ、赤ちゃんの骨や歯をつくるカルシウム、妊活女性に不足している鉄、集中力やリラックス効果を高める精油成分など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素や成分が豊富に含まれています。
また、相性の良い食材と組み合わせることで、栄養効果も高まります。
妊娠しやすい体づくりの為に、日々の食事にバジルを取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)