空き地や道端など全国の至る所に自生しているよもぎは、昔から食用としてだけでなく、薬用としても活用されてきました。
草餅に使われることからモチグサとも言われます。
緑黄色野菜に分類されるよもぎはとても栄養価が高く、妊活におすすめの食材です。
今回はよもぎに含まれる栄養素の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材やよもぎを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
よもぎに含まれる栄養素
よもぎはビタミン、ミネラルを豊富に含んでいます。
よもぎに含まれるこれらの栄養素は100g当たりで比較すると、いずれもほうれん草より多く含まれています。
一回で食べられるよもぎの量はほうれん草に比べると僅かですが、よもぎには妊活中におすすめの栄養素が豊富に含まれています。
ここでは、よもぎに含まれる栄養素の中から妊活中に有効な働きをする、ビタミンA、ビタミンE、カルシウムおよび、鉄について解説します。
強い抗酸化作用を持つビタミンAとビタミンE
ビタミンAには皮膚や粘膜の状態を整え、細菌感染などから細胞を守ってくれる働きがあり、子宮環境を整えてくれます。
また、妊娠初期の胎児の成長にも重要な働きをするほか、強い抗酸化作用を持っています。
ビタミンEもビタミンAと同様に強い抗酸化作用を持っています。
ビタミンAとビタミンEの強い抗酸化作用は卵子の老化を予防してくれます。
さらに、ビタミンEには血行を促進する作用もあります。
血行が良くなると卵子に必要な栄養が届き、卵子が健やかに保たれます。
強い抗酸化作用を持つ、ビタミンAとビタミンEは妊活中の強い味方であり、赤ちゃんが欲しいと思ったら、積極的に摂っていただきたい栄養素です。
赤ちゃんの骨や歯をつくるカルシウム
カルシウムは骨や歯をつくるのに不可欠な栄養素で、筋肉を動かしたり、精神の安定にも働きます。
カルシウムは赤ちゃんの発育には欠かせない栄養素で、お母さんのおなかの中にいる時は胎盤を通してカルシウムをもらい、歯や骨が作られます。
また、出産後も母乳を通してカルシウムをもらいます。
したがって、赤ちゃんに十分なカルシウムをあげられるように、妊娠の準備期である妊活中から十分なカルシウムを摂っておく必要があります。
日本人にとってカルシウムは慢性的に不足している栄養素であり、食事からの摂り過ぎによる害を心配する必要はありません。
しかし、サプリメントからの摂り過ぎが続くと健康を害する場合があるので注意しましょう。
妊活女性に不足している鉄
鉄は月経のある年代のほとんどの女性が不足している栄養素で、多くの女性が「潜在的な鉄欠乏」の状態にあると言われます。
鉄には動物性食品由来のヘム鉄と植物性食品由来の非ヘム鉄の2種類があり、よもぎには後者の非ヘム鉄が含まれています。
この2種類の鉄の大きな違いは吸収率です。
よもぎに含まれる非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収されにくいという性質があります。
吸収されにくい非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂取することで体内に吸収されやすくなります。
女性は月経による出血だけでなく、妊娠による胎児への補給、そして、出産時の出血などにより、沢山の鉄を失います。
その為、妊活中から鉄の摂取を意識し、貧血を予防することが大切です。
アレルギーに注意
秋の花粉症の原因となる植物の一つによもぎが挙げられます。
秋に花を咲かせるキク科のよもぎは、体質によってはアレルギー反応が出る場合があります。
花粉だけでなく、食用として摂取してもアレルギー反応が出るので、キク科のアレルギーを持っている方は注意して下さい。
一緒に食べたい相性の良い食材
よもぎと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
ビタミンCが豊富な苺と合わせて食べよう
よもぎに含まれる非ヘム鉄はビタミンCと一緒に摂取することで吸収されやすくなります。
ビタミンCが豊富な苺と一緒に食べれば、吸収率がアップ。
また、苺のビタミンCとよもぎに豊富なビタミンAおよびビタミンE。
この3つのビタミンはいずれも強い抗酸化作用を持っており、3つを合わせてビタミンACE(エース)と呼びます。
よもぎと苺を一緒に食べることで3つのビタミンが揃い、より強力に卵子の老化を予防してくれます。
食材の食べ合わせによる栄養効果でみると、餅生地によもぎを練り込んだ、苺草餅は理にかなった食べ物と言えます。
よもぎ茶とルイボスティをブレンドしよう
ルイボスティは抗酸化作用のあるポリフェノールをはじめ、美容と健康に良いとされる成分を多く含み、女性に人気のお茶です。
しかも、ノンカフェインなので妊活中はもちろん授乳中も安心して飲むことができます。
よもぎ茶とブレンドすれば、妊活におすすめのブレンド茶の出来上がり。
よもぎ茶の作り方については、後述する【4.よもぎのおすすめレシピ】を参照下さい。
よもぎ茶とルイボスティのブレンド茶
よもぎのおすすめレシピ
よもぎを使った妊活レシピを2つご紹介します。1つ目はよもぎ茶。2つ目はよもぎ茶葉の出がらしで作るふりかけです。ぜひお試し下さい。
よもぎ茶
よもぎ茶はカフェインが入っておらず、体を温める作用があるので妊活中のお茶に適しています。
市販品もありますが、自分で作るとその味わいは格別です。
よもぎはとても生命力が強く、外に出れば至る所に生えており、簡単に入手できますが、車が多く通る所は排気ガスが気になります。
また、人や犬がよく入る場所も衛生面が心配です。
よもぎを摘む場所としては、川の土手や緑が多い森林公園などがおすすめです。
◇材料(湯呑み2杯分)
- よもぎの葉(生で)…10g
- 水…湯呑み2杯分
◇作り方
- 洗面台に水を張り、よもぎに付いた汚れや小さな虫をしっかりと洗い落とす。汚れた水を捨て、再び水を張ってよもぎを洗う。これを4~5回繰り返す。
- お盆にキッチンペーパーを敷き、洗ったよもぎを広げて、3日間天日干しする。
- 天日干ししたよもぎをキッチンペーパーごとレンジで1分半~2分加熱し、乾燥させ、はさみで切り刻む。
- テフロン加工のフライパンで、④のよもぎを15分程空炒りし、よもぎ茶葉の完成。
- 急須によもぎ茶葉を入れ、熱湯を注ぎ、色が出たら、湯呑みに注いで、召し上がれ。
出がらしで作る☆よもぎ茶ふりかけ
栄養価の高いよもぎでお茶を作り、飲んだ後の出がらしはふりかけにしていただきます。よもぎの栄養を無駄なく摂ることができます。
◇材料(出がらし1回分)
- よもぎ茶の出がらし…1回分
- 小えび…大さじ2
- ちりめんじゃこ…大さじ2
- 醤油…小さじ1
- 酒…小さじ1
◇作り方
- よもぎ茶の出がらしをキッチンペーパーに広げて、レンジで2分程加熱し、水気を飛ばす。
- 水気を飛ばしたよもぎ茶の出がらしをはさみで切り刻む。
- テフロン加工のフライパンで、③を空炒りし、パラリとしてきたら、小えびとちりめんじゃこ、醤油、酒を加えて味を整え、完成。
◇栄養成分(出がらし1回分)
- エネルギー 68kcal
- たんぱく質 11.5g
- ビタミンA(β-カロテン) 530ug
- ビタミンE 1.2mg
- カルシウム 272mg
- 鉄 0.9mg
よもぎの保存方法
冷蔵保存
しっかりと水洗いし、水気を拭き取ってから、湿らせた新聞紙で包み、保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
冷凍保存
熱湯で茹でて、使いやすい形状(刻む、ペーストするなど)にしてから、保存袋に入れて保存しましょう。
よもぎパワーで妊娠しやすい体づくりを
よもぎには、強い抗酸化作用を持つビタミンAとビタミンEをはじめ、赤ちゃんの骨や歯をつくるカルシウムや妊活女性に不足している鉄など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
よもぎを摘んでくる作業からやるのは大変…という方もご安心下さい。
よもぎはお茶や粉末、ペーストなどに加工されて市販されています。
市販品を上手に活用して、妊娠しやすい体づくりの為に日々の食事によもぎを取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)