私たちの体は食べた物からつくられています。
そして、食べ物に含まれる様々な栄養素の働きによって、生命を維持し、健康を保っています。
健康的でバランスのとれた食事を摂ることは妊活をしていく上で基本となります。
妊娠しやすい体づくりの為にも、毎日の食事からしっかり栄養素を摂ることは妊娠力アップにつながります。
今回は妊活におすすめの食材「イカ」について解説します。
イカに含まれる栄養素や成分の解説をはじめ、食べる時の注意点、一緒に食べたい相性の良い食材やイカを使ったレシピなどをご紹介します。
妊活中の食事の参考にして下さい。
イカに含まれる栄養素
イカは低カロリー、低糖質、高タンパク質の食材です。
また、タウリンやコレステロール、亜鉛、ビタミンEなど、妊活中に有効な栄養素や成分が多く含まれています。
ここではイカに含まれる栄養素や成分の働きを解説します。
妊活カップルに欠かせないタウリン
タウリンは魚介類に多く含まれる成分で、イカの他にタコ、貝類に豊富に含まれています。
タウリンには私たちの体や細胞を正常な状態で保つ作用があり、この作用を「ホメオスタシス(恒常性維持)」といいます。
この作用により、血圧や血中コレステロール値が正常に保たれ、健康状態が維持できるのです。
タウリンのホメオスタシスは卵子や精子の健常化を促してくれるので、妊活カップルには欠かせない成分です。
女性ホルモンの材料となるコレステロール
コレステロールはたんぱく質と脂質が結合したもので、細胞膜の材料となります。
体に良くないイメージがあるコレステロールですが、近年、コレステロールについての見解が大きく変わり、健康な人は食材からのコレステロールの制限をする必要はなくなりました。
コレステロールは女性ホルモンの材料になるので、妊活中は積極的に摂るべき栄養素です。
また、コレステロールは脂質なのでそのままでは水分の多い血液に溶け込むことができません。
そこで血液に溶け込みやすいたんぱく質に包まれて血液中を流れていきます。
その為、コレステロールを効果的に摂る為にはたんぱく質もしっかり摂る必要があります。
イカはたんぱく質とコレステロールの両方が摂取できる、妊活中におすすめの食材です。
女性ホルモンの手助けをする亜鉛
亜鉛はたんぱく質から新しい細胞をつくる為に不可欠な栄養素です。
子宮粘膜をつくる材料となり、子宮環境を整え、女性ホルモンの作用を高める働きがあります。
また、亜鉛は赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素で、生まれたばかりの赤ちゃんの成長には体重当たりで大人の2~3倍の亜鉛が必要となります。
出産後、赤ちゃんはお母さんの母乳を通して亜鉛をもらいますので、赤ちゃんに十分な亜鉛があげられるように、妊娠の準備期である妊活中からしっかりと亜鉛を摂っておく必要があります。
アンチエイジング効果があるビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用を持っています。
加齢や日々のストレスにより、体内には酸化物が溜まります。この酸化物がサビです。
当然のことながら、サビは卵子にも溜まり、サビの蓄積は卵子の老化につながってしまいます。
ビタミンEの強い抗酸化作用はそのサビを取り除く働きがあり、卵子の老化予防をしてくれます。
また、ビタミンEには血行を促進する作用もあります。
血行が良くなると卵子に必要な栄養が届き、卵子が健やかに保たれます。
消化に時間がかかります
イカは繊維質が強く、消化に時間がかかります。
イカを食べる時は良く噛んで食べましょう。
また、風邪などで胃腸が弱っている時にイカを食べると、胃腸へ負担がかかってしまい、消化不良を起こし、腹痛や吐き気の原因となります。
したがって、胃腸が弱っている時は食べるのを控えましょう。
一緒に食べたい相性の良い食材
イカと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
レモン
前述した通り、イカは繊維質が強く消化に時間がかかります。
レモンの酸味は唾液や胃液などの消化酵素の分泌を促し、イカの消化を助けてくれます。
また、レモンに豊富に含まれるビタミンCはイカに含まれるタウリンの損失を防ぎ、ビタミンEの抗酸化力をさらに高めてくれます。
イカのおすすめレシピ
イカを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。
どちらのレシピも妊活に大切なイカの栄養成分をしっかりと摂ることが出来ます。
ぜひお試し下さい。
ヒイカと大根の煮物
イカの旨味を味わえる優しい味付けの煮物です。
イカに含まれるタウリンは水溶性なので煮汁ごと食べて、無駄なくタウリンを摂りましょう。
◇材料(4人分)
- ヒイカ(小イカ)…1パック(8パイ程度)
- 大根…1.5㎝輪切り8個
- だし汁…400㏄
- みりん…小さじ2
- 薄口醤油…小さじ2
- 生姜輪切り…適量
◇作り方
- 【大根の下処理】大根は1.5㎝の輪切りにし、皮をむき、両面に十字の切り込みを入れる。鍋に大根と大根がかぶるくらいの水、ひとつまみの米(分量外)を入れ、火にかけ、沸騰後10分下茹でする。下茹で後、大根を水で洗う。
- 【ヒイカの下処理】ヒイカは胴から足を引き抜き、胴と足に分ける。胴に付いている軟骨、足に付いている内臓、口、目を取り除く。胴と足を水で洗い、ひとつまみの塩と酒大さじ1(分量外)を揉み込み、置いておく。
- 鍋に下茹でした大根とだし汁を入れ火にかけ、沸騰したらだし汁、みりん、薄口醤油、生姜輪切りを加え、15~20分煮る。
- ③に下処理したヒイカを加え、ひと煮立ちさせ、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 58kcal
- たんぱく質 7.5g
- 亜鉛 0.6mg
- ビタミンE 0.6mg
イカとレタスのハニーマリネ
ボイルイカとカット野菜でできる簡単妊活レシピです。
レモン汁にはビタミンCが豊富に含まれています。
イカとレモン汁を一緒に食べることで、イカに含まれるタウリンの損失を防ぎ、亜鉛やビタミンEが効率的に吸収されます。
◇材料(4人分)
- ボイルイカ…120g
- レタスミックス(カット野菜)…100g
- エキストラバージンオリーブオイル…40g
- レモン汁…30g
- はちみつ…30g
- 塩、黒こしょう…適宜
◇作り方
- 【マリネ液を作る】ビンを計りにのせ、0メモリにし、オリーブオイル、レモン汁、はちみつを入れ、蓋をしてよく振る。味をみて、塩、黒こしょうを適宜加える。
- ボールにボイルイカとレタスミックスを入れ、①のマリネ液を加え混ぜ合わせ、冷蔵庫に30分程度入れて味を馴染ませ、完成。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 162kcal
- たんぱく質7.4g
- 亜鉛 0.7mg
- ビタミンE 1.7mg
イカを使った他の妊活レシピを見る
イカの保存方法
イカは鮮度が落ちやすいので、購入したら、その日のうちに調理または保存しましょう。
冷凍保存する場合は、内臓と軟骨を取り除き、必要があれば皮をむきます。
そして、使いやすい大きさに切り分け、ラップに包み、保存袋に入れましょう。
イカパワーで妊娠しやすい体づくりを
イカは低カロリー、低糖質、高タンパク質の食材です。
また、卵子や精子の健常化を促すタウリンや女性ホルモンの材料となるコレステロール、女性ホルモンの手助けをする亜鉛、卵子の老化を予防するビタミンEなどが豊富に含まれているので、妊活中はぜひ積極的に摂っていただきたい食材です。
妊娠しやすい体づくりにはバランスの摂れた食事が不可欠です。
妊活中のおすすめ食材であるイカを日々の食事に取り入れて、妊娠しやすい体づくりをしましょう。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)