春を告げる山菜の代表格であるうどは、その特有な香りと食感が特徴的です。
役に立たないものの例えに「うどの大木」という言葉がありますが、うどは大きくなると高さ2mまでに達し、食用には向きません。
うどは若い茎や穂先など若芽部分を食用にします。
今回は妊活におすすめの食材「うど」について解説します。
うどに含まれる栄養素や成分の解説をはじめ、調理の際のポイント、相性の良い食材やうどを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
うどに含まれる栄養素
うどは90%以上が水分で構成されています。
うどに含まれる主な栄養素はカリウムや葉酸です。
カリウムや葉酸以外に含まれるビタミン・ミネラルは微量ですが、アスパラギン酸やジテルペンといった妊活におすすめの栄養成分を含んでいます。
疲労回復効果のあるアスパラギン酸
アミノ酸の一種であるアスパラギン酸は、新陳代謝を高めて、疲労回復に効果的な働きをします。
心身の疲れはホルモンバランスの乱れにつながり、妊娠体質が遠のいてしまいます。
アスパラギン酸は体内で作ることができる成分ですが、加齢と共に体内で作れる量が減ってしまう為、妊活中の女性はもちろん、男性にもぜひ意識的に摂っていただきたい成分です。
浮腫みを予防するカリウム
カリウムにはナトリウムと作用し合い、体内の水分バランスを保つ働きがあります。
カリウム不足やナトリウムの過剰摂取が続くと、カリウムの働きが追いつかなくなり、浮腫みの原因となります。
妊活中の浮腫みは子宮や卵巣の機能低下につながります。
カリウムをしっかり摂って、浮腫みを予防しましょう。
妊活女性に必須な葉酸
葉酸はお腹の赤ちゃんの脳や神経を作るのに不可欠な栄養素で、厚生労働省も妊娠を希望する女性に積極的な摂取を勧めています。
お腹の赤ちゃんの脳は妊娠初期の妊娠6週目(おおよそ妊娠1ヶ月半)には出来上がると言われています。
つまり、妊娠に気がついた頃には赤ちゃんの脳が出来上がっているので、妊娠前の妊活中から積極的に葉酸を摂取する必要があるのです。
葉酸が不足すると赤ちゃんの脳の発育に悪影響を及ぼすことがあります。
血行を良くするジテルペン
うどの香り成分であるジテルペンには、自律神経を調整して精神を安定させる効果があると言われます。
また、血行を良くして体を温める作用があるので、妊活の大敵である、冷えの予防・改善にも効果的です。
調理の際のポイント
うどを買った(もしくは貰った)けど、調理の仕方がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、うどの調理のポイントを解説します。
皮は厚めにむきましょう
うどの皮は繊維質がとても多いのが特徴です。
皮は厚めにむきましょう。
しっかりとアク抜きしましょう
うどはアクが強く、切ったそばから切り口が赤く変色します。
切る前に酢水を用意し、切ったらすぐに酢水にさらしましょう。
さらす時間は10分程度です。
ほとんど捨てるところがありません
うどは根元の泥が付いている部分を除けば全て食べることができます。
うどは、穂先・皮をむいた茎・皮と脇の細い茎の3つの部分に分けて調理します。
それぞれの部分に独特の味わいがあり、適した調理法があります。
- 穂先(写真右上)…汁物向き。うど特有の香りや苦みが感じられる。
- 皮をむいた茎(写真左上)…和え物やサラダ向き。シャキシャキとした食感が特徴。
- 皮と脇の細い茎(写真下)…炒め物向き。うどの風味が強い部分。
上の写真のように、うど1本から、汁物・和え物・炒め物を作ることができます。
和え物(うどのくるみ味噌和え)と炒め物(うどのきんぴら)のレシピは後述する【4.うどのおすすめレシピ】をご覧下さい。
一緒に食べたい相性の良い食材
うどと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
脂質やたんぱく質が豊富なくるみと合わせて食べよう
うどなどの山菜は脂質やたんぱく質が不足しがちです。
くるみにはうどに不足している脂質やたんぱく質が豊富なので補ってくれ、一緒に食べることで栄養価が高まります。
また、くるみに含まれる脂質はオメガ3脂肪酸という不飽和脂肪酸で、体の細胞膜を作る原料となります。
妊活に関わる事としては、子宮粘膜をつくる材料となり、子宮環境を整え、女性ホルモンの作用を高める働きがあります。
うどのおすすめレシピ
うどを使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。
うどのくるみ味噌和え
うどと相性の良いくるみを使ったレシピです。
和え物に向いている、うどの茎部分を使います。
うどのみずみずしくシャキシャキとした食感とコクのあるくるみ味噌が相性抜群の一品です。
◇材料(2人分)
- うど(茎部分1本分・皮をむいて)…約80g
- くるみ味噌
- くるみ…10g
- 味噌…大さじ1
- 三温糖…大さじ1/2
- みりん…小さじ1/2
- はちみつ…小さじ1/2
◇作り方
- くるみ味噌を作る。くるみは粗くつぶす。くるみ味噌の材料全てを小さめのフライパンに入れ、弱火にかける。1~2分炒ったら火を止める。
- うどの茎を扱いやすいように5~6㎝程度に切り分け、厚めに皮をむく。皮をむいたうどをさらに1/2の長さに切ったのち、縦に薄切りにする。切ったうどは酢水にさらす。
- ②のうどを熱湯で1分茹でる。茹で終わったら、ザルにあげ、粗熱を取る。
- ①と③が冷めたら、和えて、完成。
◇栄養成分
- エネルギー 79kcal
- たんぱく質 2.1g
- カリウム 167㎎
- 葉酸 15ug
うどのきんぴら
炒め物に向いている、うどの皮と脇の細い茎を使います。
油で炒めることで、アクが抑えられ、うどの風味を存分に味わうことができます。
繊維質が多い皮部分には食物繊維が多く含まれるので、便通の改善に効果的です。
◇材料(2人分)
- うど(皮と脇の細い茎部分1本分)…約80g
- 人参…60g
- ごま油…大さじ1
- 調味料
- 醤油…小さじ2
- みりん…小さじ2
◇作り方
- うどの茎から厚めにむいた皮と脇の茎の部分を細切りにする。切ったうどは酢水にさらす。人参はうどと長さを揃えて、細切りにする。
- フライパンにごま油を熱し、人参を炒める。人参に油が回ったら、うどを入れ、さらに水大さじ2(分量外)加えて、炒める。水を少量加えることで、うどの風味が増す。
- 水気が無くなったら、調味料を加え、具材に火が通るまで炒めて、完成。
お好みで炒りごまを振ってお召し上がり下さい。
◇栄養成分(1人分)
- エネルギー 38kcal
- たんぱく質 1.1g
- カリウム 222㎎
- 葉酸 16ug
うどの保存方法
うどは日に当てると固くなる性質があるので、新聞紙などで包んで冷暗所で保存しましょう。
包丁を入れると、アクが出て劣化するのが早いので、その日のうちに調理しましょう。
ほとんど捨てるところがない妊活の優秀野菜「うど」
うどには、疲労回復効果があるアスパラギン酸をはじめ、浮腫みを予防するカリウム、妊活女性に必須な葉酸など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素や成分が含まれています。
また、香り成分であるジテルペンには血行を良くする働きがあり、妊活の大敵である、冷えの予防・改善にも効果的です。
うどは扱いづらいと思われがちですが、ほとんど捨てるところがない優秀野菜なのです。
調理の際のポイントを参考にして、日々の食事にうどを取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)