妊活をしていく上で、バランスの良い食生活はとても大切です。
うなぎには妊活中に必要な栄養素がたくさん含まれており、おすすめの食材です。
年々、天然ものや国産のうなぎは減少傾向にあります。そして、現在店頭に並んでいる国産のうなぎの99%以上が養殖ものになっており、値段も高騰しています。
そのような現状もあり、うなぎを食べる機会は多くはないかもしれませんが、うなぎに含まれる栄養素やその働きを知っておくと、うなぎを食べる時にきっと役に立つことでしょう。
今回はうなぎに含まれる栄養素の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材やうなぎを使ったレシピなどをご紹介します。ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。
うなぎに含まれる栄養素
うなぎは魚介類の中でも栄養価がとても高い食材です。
うなぎには、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、私たちが健康を維持していくために必要な栄養素が豊富に含まれています。
特にビタミン類が多く含まれているのが特徴です。
ここではうなぎに含まれる妊活中に有効な栄養素の働きを解説します。
豊富なビタミン類
ビタミンは体のあらゆる働きを正常に保つ為に不可欠な栄養素であり、うなぎにはこのビタミン類が豊富に含まれています。
◇ビタミンA(レチノール)
うなぎはビタミンAが豊富な食材の代表格です。
ビタミンAには動物性食品に含まれるレチノールと、植物性食品に含まれ、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンがありますが、うなぎに含まれるビタミンAは前者のレチノールです。
うなぎに含まれるビタミンAには粘膜や皮膚の状態を整え、細菌感染などから細胞を守ってくれる働きがあります。
妊活に関わる事として、ビタミンAは子宮環境を整えてくれます。また、妊娠初期の胎児の成長に重要な働きをするので、赤ちゃんが欲しいと思ったら、ぜひとも摂っていただきたい栄養素です。
◇ビタミンB1
ビタミンB₁には疲労回復効果や精神安定作用があります。
疲れをため込まないこと、メンタルを安定させることは妊活中の体づくりに大切です。
◇ビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用を持っています。
細胞は活性酸素によって酸化することで、老化や病気が引き起こされます。
ビタミンEは老化の原因である活性酸素から細胞を守る働きがあるので、卵子の老化も予防してくれます。
◇ビタミンD
カルシウムと共に丈夫な骨をつくるのに欠かせないのがビタミンDです。
骨の材料となるカルシウムの吸収を促進することは広く知られています。
また、最近の研究でビタミンDには免疫作用の調整をする役割もあることが分かり、注目されています。
妊娠に関わる事として、ビタミンDは子宮内膜の環境を整え、着床に必要であることが分かってきました。
生殖機能を高める亜鉛
亜鉛は男性ホルモンの合成には欠かせない栄養素です。
亜鉛の不足は生殖機能の低下や性欲の低下をもたらします。
女性では亜鉛は子宮粘膜をつくる材料となり、子宮環境を整え、女性ホルモンの作用を高める働きがあります。
つまり、亜鉛は男女ともに大切な働きをしますので、妊活中のカップルにはぜひ摂っていただきたい栄養素です。
性ホルモンのバランスを保つたんぱく質(アルギニン)
たんぱく質は健康な体の土台となる栄養素です。
体内では20種類のアミノ酸がいろいろな組み合わせによって結合して、多種多様なたんぱく質をつくっています。
うなぎに多く含まれるアミノ酸で注目したいのが「アルギニン」です。
アルギニンはうなぎの他にマカ、にんにくなどに多く含まれ、栄養ドリンクの主成分としても広く使われています。
アルギニンは成長ホルモンの分泌を促し、血流を促進する働きがあります。
男性ホルモンや女性ホルモンなどの性ホルモンは成長ホルモンによって調整されていますので、その成長ホルモンの分泌を促すアルギニンは妊活において大切な栄養素と言えます。
うなぎに含まれるビタミンAについて
うなぎに豊富に含まれるビタミンAは子宮環境を整え、妊娠初期の胎児の成長に重要な働きをするので、妊活中は積極的にとっていただきたいのですが、ビタミンAは過剰摂取により、胎児に奇形が起こるなどの悪影響が出るとの指摘がされています。
しかし、毎日うなぎを食べるということは考えにくい上、仮に100g/1食分を毎日食べたとしても、ビタミンAの許容上限量(この値を超えて摂取した場合、過剰摂取による健康障害が発生するリスクがゼロではなくなることを示す値)には達しません。
したがって、普段の食生活の中で適量を食べる分には全く問題ないと考えられます。
一緒に食べたい相性の良い食材
うなぎと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。
パプリカ
うなぎは魚介類の中でも栄養価が高く、特にビタミン類が豊富に含まれていますが、意外にもビタミンCはほとんど含まれていません。
パプリカのビタミンC含有量は野菜の中でもトップクラスを誇ります。
うなぎと一緒に食べれば、栄養素の吸収率が高まり、妊活に必要な栄養素をよりバランス良く摂ることができます。
うなぎの蒲焼の副菜としてパプリカのピクルスなどはいかがでしょうか。
うなぎのおすすめレシピ
うなぎの蒲焼を使ったおすすめの妊活レシピを2つご紹介します。どちらのレシピもうなぎにほとんど含まれていないビタミンCが補えるレシピです。ぜひお試し下さい。
うなぎとパプリカの酢の物
三重県の郷土料理「うざく(うなぎときゅうりの酢の物)」をアレンジした一品です。きゅうりの代わりにビタミンCが豊富なパプリカを使いました。
ふっくら柔らかいうなぎとシャキシャキとしたパプリカの食感が楽しめます。
◇材料(2人分)
- うなぎ蒲焼…50g
- パプリカ…120g
- 酢…大さじ1
- 砂糖…大さじ1/2
- 食塩…小さじ1/2
◇作り方
- パプリカを一口大の乱切りにし、酢、砂糖、食塩を合わせた調味液と共に保存袋に入れ、軽く揉んで、冷蔵庫で1時間以上冷やす。
- うなぎ蒲焼はレンジ等で温めてから、幅1㎝程度の短冊切りにし、トースターで表面を軽く焼き上げる。
- ①のパプリカと②のうなぎ蒲焼をお皿に盛り合わせて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- カロリー 100kcal
- たんぱく質 6.2g
- 亜鉛 0.8mg
- ビタミンA 385ug
- ビタミンB1 0.21mg
- ビタミンE 2.7mg
- ビタミンD 4.8ug
うなぎとアボカドのレモン寿司
うなぎとアボカドはどちらも強い抗酸化作用を持つビタミンEが豊富な食材です。ビタミンCたっぷりのレモン汁と合わせて摂ると、ビタミンEの抗酸化作用がさらに高まり、卵子の老化を予防してくれます。濃厚なうなぎとアボカドにさっぱりとしたレモン風味のご飯が相性抜群です。
◇材料(2人分)
- ご飯…300g
- レモン汁…大さじ2
- うなぎ蒲焼…1/2尾(100g)
- アボカド…1/2個
- 錦糸卵…卵1個分
◇作り方
- 温かいご飯にレモン汁を加え、切るように混ぜ合わせる。
- うなぎ蒲焼は幅1㎝程度の短冊切り、アボカドはサイコロ状に切る。
- お皿に①のご飯を平らに盛り、錦糸卵、アボカド、うなぎ蒲焼の順に盛り付けて、完成。
◇栄養成分(1人分)
- カロリー 506kcal
- たんぱく質 18.9g
- 亜鉛 2.8mg
- ビタミンA 780ug
- ビタミンB1 0.46mg
- ビタミンE 3.8mg
- ビタミンD 9.5ug
うなぎを使った他の妊活レシピを見る
うなぎの保存方法
うなぎはほとんどが蒲焼の状態で店頭に並んでいます。
ここではうなぎの蒲焼の保存方法についてご説明します。
うなぎの蒲焼は1切れずつラップに包み、保存袋に入れましょう。
2~3日中に食べる場合は冷蔵庫へ、すぐに食べない場合は冷凍庫で保存しましょう。
冷凍保存の場合は1ヶ月以内を目安に食べ切りましょう。
妊活のおすすめ食材「うなぎ」
うなぎには豊富なビタミン類をはじめ、生殖機能を高める亜鉛、性ホルモンのバランスを保つたんぱく質など、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素が豊富に含まれています。
値段の高騰で、うなぎを食べる機会は多くはないかもしれませんが、たまの贅沢にうなぎを食べるのもいいですね。
妊娠しやすい体づくりの為に、日々の食事にうなぎを取り入れてみてはいかがでしょうか。
執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)