とうもろこしで妊娠力アップ!妊活中の栄養・レシピ解説

とうもろこし 野菜・いも類・果物

とうもろこしは米・麦に並ぶ世界三大穀物として知られており、とうもろこしを主食として食べている国も多くあります。
日本ではとうもろこしは野菜として扱われ、農林水産省のホームページでも野菜に分類されています。

野菜の中ではカロリーが高めなとうもろこしですが、妊活中に必要な栄養素や成分を多く含んでいるので、おすすめしたい食材です。

今回はとうもろこしに含まれる栄養素や成分の解説をはじめ、食べる時の注意点、相性の良い食材やとうもろこしを使ったレシピなどをご紹介します。
ぜひ妊活中の食事の参考にして下さい。

とうもろこしに含まれる栄養素

とうもろこしに含まれる栄養素の中でも妊活中に重要な働きをするのが、糖質と食物繊維からなる炭水化物、ビタミンB1、葉酸、そして、栄養素に近い働きをするゼアキサンチンはという機能性成分です。
ここではそれらの栄養素や成分について解説します。

健康維持に欠かせない炭水化物

炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。
とうもろこしの主となる栄養素は糖質です。

糖質は体の大事なエネルギー源であり、健康維持に欠かせません。
脳の大事な栄養素なので不足すると、脳の働きが低下し、集中力がなくなったり、イライラの原因になります。

また、糖質のエネルギーは生命維持に必要な脳や内臓に優先的に送られるので、不足すると、痩せすぎたり、疲れやすくなるなどの悪影響が出ます。
また、生殖機能は後回しとなるので、生理が止まるなどの深刻なホルモンバランスの乱れが生じてしまいます。

とうもろこしの粒の皮部分には食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。

このように、とうもろこしに豊富に含まれる炭水化物には体のエネルギー源となり、腸内環境も整えてくれる働きがあります。

つまり、とうもろこしに豊富に含まれる炭水化物は妊活中にはもちろん、健康維持に欠かせない栄養素なのです。

糖質の代謝に関わるビタミンB1

ビタミンB1は糖質の代謝に深く関わっている栄養素です。
ビタミンB1には糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労の回復を助け、精神を安定させる働きがあります。
疲れをため込まないこと、メンタルを安定させることは妊活中の体づくりにとても大切です。

妊活女性に必須な葉酸

葉酸はお腹の赤ちゃんの脳や神経を作るのに不可欠な栄養素で、不足すると赤ちゃんの脳の発育に悪影響を及ぼすことがある為、厚生労働省は妊娠を希望する女性に積極的な摂取を勧めています。

とうもろこしは妊活中の女性に必須な葉酸を豊富に含んでいます。

ところで、なぜ妊娠前から葉酸を積極的に摂る必要があるのでしょうか。

それは、赤ちゃんの脳は妊娠6週目(おおよそ妊娠1ヶ月半)には出来上がるからです。
つまり、妊娠に気がついた頃には赤ちゃんの脳が出来上がっているので、妊娠前の妊活中から積極的に葉酸を摂取する必要があるのです。

赤ちゃんの目を守るゼアキサンチン

ゼアキサンチンはファイトケミカルの一つとして、近年注目されている成分です。
ファイトケミカルとは、植物性食品が持っている体に良い化学成分の総称です。

ゼアキサンチンは目の網膜の中心(黄斑)に蓄積されています。
ゼアキサンチンには抗酸化作用があり、紫外線や老化、ブルーライトによる網膜のダメージを防ぐ働きがあります。

網膜は、胎児の脳や神経が出来上がる妊娠6週目(おおよそ妊娠1ヶ月半)の段階で一緒に形成されます。
したがって、網膜に存在し、様々なダメージから目を守る働きがあるゼアキサンチンは妊娠する前の妊活中から積極的に摂りたい成分です。

食べ過ぎは肥満や消化不良の原因になります

糖質が豊富なとうもろこしの1本あたりのカロリーは、コンビニおにぎり1個と同じ位です。
その為、甘くて美味しいからと2~3本食べてしまうと、エネルギーオーバーとなります。
食べ過ぎの状態が続くと、余った糖質はやがて脂肪へと変わり、肥満の原因となります。

また、とうもろこしには不溶性の食物繊維が豊富に含まれています。
前述の通り、食物繊維は腸内環境を整える働きがありますが、食べ過ぎるとその食物繊維が原因で消化不良を起こしやすく、腹痛や下痢などを引き起こすことがあります。

夏場が旬のとうもろこし。旬のとうもろこしはみずみずしく甘みがあり、大変美味しいですが、食べ過ぎには気を付けましょう。

一緒に食べたい相性の良い食材

とうもろこしと一緒に食べたい相性の良い食材をご紹介します。

ビタミンB1の吸収を高める玉ねぎと一緒に食べよう

玉ねぎにはビタミンB1の吸収を助ける「硫化アリル」という成分が含まれています。
玉ねぎを切った時、目がしみる成分が硫化アリルです。

ビタミンB1は、単独では短時間で体外に排泄されますが、硫化アリルと結合すると、長く体内に留まることができます。

したがって、とうもろこしと硫化アリルを含む玉ねぎを一緒に食べることで、糖質の代謝に関わるビタミンB1の吸収が高まります。
硫化アリルは玉ねぎの他、ニラやニンニク、長ねぎなどにも多く含まれています。

とうもろこしのおすすめレシピ

夏場に収穫される生のとうもろこしは一年を通して食べることは出来ませんが、スイートコーンとして冷凍や缶詰などに加工されています。
加工用のとうもろこしは収穫後すぐに冷凍や缶詰に加工されるので、栄養価は生でも冷凍でも缶詰でもさほど変わりません。

しかし、缶詰の場合、葉酸とビタミンB1の含有量が少なくなります。
今回は冷凍のスイートコーンを使ったレシピを2つご紹介します。ぜひお試し下さい。

コーンと玉ねぎの味噌汁

とうもろこしと相性の良い玉ねぎを使ったレシピです。
発酵食品である味噌は乳酸菌を含み、とうもろこしに豊富な食物繊維をエサにして、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。

また、体を温める効果のある長ねぎや温かい汁物で血行が良くなり、冷えが改善され、妊娠しやすい体質へとつながります。

◇材料(2人分)

  • 冷凍スイートコーン…40g
  • 玉ねぎ…1/2個(100g)
  • 長ねぎ…25g
  • 味噌…小さじ2
  • 煮干し…適量
  • 水…300㏄
  • 粉末だし…少々

◇作り方

  1. 鍋に水と頭と腹を取り除いた煮干しを入れ、一晩おいておく。
  2. 玉ねぎは5㎜幅の薄切り、長ねぎは小口切りにする。
  3. ①を火にかけ、沸騰後、玉ねぎを入れる。
    玉ねぎに火が通ったら、スイートコーンと長ねぎを加え、ひと煮立ちしたら、一旦火を止めて、味噌を入れる。
  4. 食べる直前に再び加熱し、最後に粉末だしを少し加えると風味良く仕上がる。

◇栄養成分(1人分)

  • エネルギー 64kcal
  • たんぱく質 3.4g
  • 糖質 9.6g
  • 食物繊維 2.0g
  • 葉酸 33ug
  • ビタミンB1 0.05mg

コーンと玉ねぎの味噌汁

ほうれん草としめじのコーンソテー

とうもろこしに含まれるゼアキサンチンは脂溶性なので、油との相性が良く、油で調理すると、吸収されやすくなります。

また、ほうれん草は浮腫み予防に効果的なカリウムや強い抗酸化作用を持つβ-カロテンを豊富に含み、しめじは腸内環境を整える食物繊維を多く含みます。

◇材料(2人分)

  • 冷凍スイートコーン…50g
  • ほうれん草…1/2束(150g)
  • しめじ…50g
  • バター…10g
  • 塩、こしょう、醤油…少々

◇作り方

  1. ほうれん草はよく洗って、5cm程度に切る。しめじは石づきを取り、ほぐす。
  2. フライパンにバターを熱し、しめじ、スイートコーン、ほうれん草の順に炒め、ほうれん草がしんなりしたら、塩、こしょう、しょうゆで味付けし、完成。

◇栄養成分(1人分)

  • エネルギー…82kcal
  • たんぱく質…3.1g
  • 糖質…8.4g
  • 食物繊維…3.7g
  • 葉酸…181ug
  • ビタミンB1…0.15mg

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とうもろこしの保存方法

とうもろこしは収穫直後から甘みも栄養価も落ちるので、買った日のうちに食べることをおすすめします。
すぐに食べない場合は茹でてから熱いうちにラップに包み、冷蔵保存の場合は2~3日、冷凍保存の場合は1ヶ月を目安に食べ切りましょう。

とうもろこしで妊娠しやすい体づくりを

とうもろこしには健康維持に欠かせない炭水化物をはじめ、ストレスを軽減するビタミンB1、妊活女性に必須な葉酸、ファイトケミカルとして今注目のゼアキサンチンなど、妊活中の方にぜひ積極的に摂っていただきたい栄養素や成分が豊富に含まれています。
また、相性の良い食材と組み合わせることで、栄養効果も高まります。

妊娠しやすい体づくりの為に、日々の食事にとうもろこしを取り入れてみてはいかがでしょうか。

執筆監修者:犬飼絵里子(管理栄養士)